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2010年05月28日

佐藤優氏の「本音のコラム」。日米共同声明。満月の夜。


つい先ほど、普天間基地の移設先として、「辺野古地区及び隣接する水域」を明記した、忌まわしき「日米共同声明」が発表された。

鳩山首相に対しての怒りは、やはりぶり返す。
いや、「実現不可能な計画」を、旧政権同様に「日米合意」するなどという行為は、愚かを通り越して、笑うしかない。断言するが、こんなごまかしで決着したことには、到底ならない。名護市東海岸で我慢強く住民運動を続けてきた人たちの胸のうちを思うと言葉もないが、きょうまた改めて、「辺野古新基地建設・断固阻止」の長い戦いが始まったことだけは事実である。

いずれにしても、日米政府は、過去14年がかりの計画の失敗と「沖縄の民意」の重大な変化に照らして、辺野古新基地建設など到底「実現不可能」であると、なぜ学ばないのか、つくづく不思議である。政府がどんなに「アメ」をバラ撒き、どんなに汚い懐柔策を繰り出そうが、そんなごり押しは、沖縄県民が絶対に許さない。

何度でも言うが、沖縄をなめてはけいない。

一方、きょうこういう事態に至ったという点に関しては、鳩山氏個人に罪をなすり付けてウサばらしをするのではなく、わたしたちは、この「合意」に至る本当の「戦犯」は誰なのかを、きちんと見極めなければならない。そうして冷静に、「普天間問題」解決への道を新たに歩み始めねばならない。

じつは今朝、目覚めて間もなく、昨夜につづいて「雁屋哲の美味しんぼ日記」を再訪してみた。
やや遡って、鳩山首相が沖縄を初訪問した日、5月4日付の「鳩山由紀夫氏を攻撃するのは誰か」というタイトルのブログを読んだ。
なかなか興味深いものがあった。皆さんもぜひ、ご一読を。
http://kariyatetsu.com/nikki/1228.php


それからわたしは今朝の新聞を読んだ。
東京滞在中は、朝日新聞と東京新聞を、毎朝欠かさず読むようにしている。

今朝は、東京新聞「こちら特報部」の「本音のコラム」(27面)というコーナーに注目した。複数の執筆者が持ち回りで書いている欄だが、今朝はわが高校同期生・佐藤優氏の番であった。

これまた、なかなか興味深いものがあった。
「同級生自慢」を割り引いても、当ブログ読者の皆さんにもぜひ、ご一読いただきたいと思える文章だ。

しかしこの「こちら特報部」はWEBで読めないページである(たしか月額会費制で読める仕組みもあった気がするので、各自お調べください)。個人的には、頑張ってほしい新聞なので、関東近県の方には、ぜひとも駅売店・コンビ等でお求めいただきたい。今どき1部100円の東京新聞、まさにお得でありますゆえ。

それも無理という方のために。幸い長い文章ではないので、「二つの顔」というタイトルの佐藤氏のコラム全文、以下に引用紹介いたしましょう。

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佐藤優氏の「本音のコラム」。日米共同声明。満月の夜。


東京新聞・2010年5月28日・[本音のコラム]

「二つの顔」   佐藤優

 鳩山由紀夫首相には二つの立場がある。第一は、総選挙で国民によって最大多数の支持を得た民主党代表としての立場だ。第二は、官僚のトップとしての立場だ。鳩山由紀夫という一人の人間にこの二つの立場が「区別されつつ分離されず」に混在している。国民と官僚の間に深刻な利害相反が起きると、首相の自己同一性の危機が生じる。

 二十三日、鳩山首相の沖縄再訪について、普天間飛行場の移設先として鳩山首相が辺野古周辺と地域を明示したことが約束違反であると全マスコミが非難する。確かに「最低でも県外」という約束を反故(ほご)にした。問題はその原因だ。外務官僚が中心となって、自民党政権時代に官僚が作成した辺野古案に戻るのが唯一の選択肢だという鳩山包囲網を築いたからだ。辺野古という名を出した鳩山首相には官僚のトップとしての立場が反映されている。

 しかし、鳩山首相は別の顔も見せた。対馬丸記念館訪問のときの鳩山首相の映像や写真をよく見てほしい。死者と対話し「普通の人々」の側に立とうとする鳩山首相の姿がある。これを単なるパフォーマンスとみなす人は心が歪(ゆが)んでいる。普天間問題を最大限に活用し、官僚が日本国家を支配しようとしている。鳩山政権の打倒ではなく、鳩山首相をいかに国民の側に引き寄せるかが焦眉(しょうび)の課題だ。(作家・元外務省主任分析官)

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きのうご紹介した雁屋哲氏のブログ記事のタイトルは、「敵を間違えるな」だった。

「最低でも県外」の約束を破ったことに対しては、多くの沖縄県民同様、どうしても怒りの収まらぬわたくしめであるが、その怒りを突きつけるべき矛先を、きちんと冷静に見極める作業が、今こそ必要なようだ。

ここぞとばかりに「鳩山叩き」に躍起になっているだけのメディアや政治家や評論家に対しては、むしろ疑いの目を向けたほうがよさそうである。それこそ官僚たちの思うツボにはまってしまわぬためにも。

奇しくも、きょうは十五夜の満月。
今夜の東京は、おそらくこのまま快晴だが、沖縄は梅雨空の「涙雨」か。

皆さん、体調など崩されませぬように。

本日昼間は、都内某所で、前もって申し込んでおいた「日米安保50周年」関連のシンポジウムに聴衆の一人として参加する。これについては追って、少しは報告したいと思っている。

夜は、これまた「普天間問題」と関係のある、わたしにとっては大変貴重な会合の予定が入っている。

さぁて、こういうときこそ気を入れ直し、なおかつ空回りせぬように、頑張らねば。



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Posted by watanatsu at 10:35 │時事問題