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2010年07月19日

高校野球・沖縄大会決勝戦を振り返って。

きょうは未明の猛烈な雨音で目覚めたが、きのうも一日、不安定な天候だった。

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天気予報では午後から雨の可能性が告げられていたが、案の定、北谷公園野球場も昼前から雨雲の中にすっぽり包まれ、先攻の糸満高校のシートノック(ノック練習は、後攻のチームから行われる)は、雨脚が激しくなり中断。12時半の予定時刻に試合は開始できなくなった。

しばらく雨は止みそうもなかったが、しかし大会本部はすぐに雨天順延を発表しなかった。気象情報をにらみつつ検討を重ねた。1時半まで様子を見て、判断すると決めた。
高校野球・沖縄大会決勝戦を振り返って。



そうして、雨が上がって間もない1時半。10分後にグラウンド整備をしなおし、ノック練習をやり直して、試合を開始すると発表した。ずぶぬれになりながらも、試合開始を待ちわびていた観客の皆さんから、歓声と拍手が沸き起こったことは言うまでもない。そしてこの球場の水はけの良さには、改めて感心した。

結局「興南高校vs糸満高校」の決勝戦は、予定から1時間半遅れて14時にスタートした。

この雨を挟んだ両チームの動きの違いをわたしは双眼鏡でつぶさに観察させてもらったのだが、なかなか興味深い光景がそこにはあった。

ただし、そのことも含めて、甲子園への切符を全国一早く手にした興南高校の「この夏」についての詳細は、10日ほど後に発売のスポーツ雑誌「Number」(文藝春秋)の「甲子園プレビュー特集号」に書かせていただくので、お楽しみに。
(※7月21日現在の訂正。上記の双眼鏡で観察した部分は、Numberの記事中には入りきらなかったので、あらためて当ブログにちょこっと書きましょうね)

周知のとおり、興南は、7回に11打者の猛攻で8得点というビッグイニングをつくり、9対1で勝利した。
両校エース対決は、興南の島袋洋奨に軍配が上がった。調子は決してよくなかったが、悪いなりに、要所を締めるピッチングは健在だった。ものを言ったのは、低めにコントロールされた変化球だった。
高校野球・沖縄大会決勝戦を振り返って。


(写真のマウンド上は、島袋洋奨君。わかりづらいでしょうが)

わたしは新聞社の記者さんたちと違って、両校監督、選手のもとへ手分けして駆け回るということができない。一匹狼ならぬ一匹狸(自称!!)としてのフリーランスの物書きの宿命だ。

興南高校の取材がすべて終了してから、わたしは糸満高校側へ移動してみた。三塁側の球場外の通路では、糸満ナインが、選手同士、あるいは応援してくれた学校の仲間や関係者と、思い思いに、涙混じりに談笑し、名残惜しい「2010年の夏」の味を、まさにしみじみかみ締めているところだった。

わたしは迎えのクルマを待つ間(なんと贅沢なことに、二日連続で写真家・石川真生さんが送り迎えをして下さったのだ)、宮國椋丞、島袋陽平のバッテリーに話を聞くことができた。

宮國投手は、瞼を赤く腫らしつつ、気丈に言葉を搾り出してくれた。
「最後に興南と試合ができて、光栄でした。7回(の連打を浴びた場面で)は、自分に動揺があったと思います。興南には、自分たちのためにも、甲子園で春夏連覇してほしい、という気持ちです」

当方が、「最後の夏」が終わるね、と水を向けると、「この仲間と野球ができたことが嬉しいです」と言葉に力をこめ、グッとこみあげるものを必死でこらえる表情になった。

お疲れ様、ありがとう。宮國椋丞君も、大会ナンバーワンの「147キロ右腕」として、左腕のナンバーワン島袋洋奨君に劣らず注目を集め、なにかとプレッシャーもあったことだろう。素質の豊かさは、この日も随所に見せてくれた。これからの野球人生で良きキャリアを積み、才能をさらに開花させてほしい。わたしたちをまた喜ばせてくれる日が楽しみである。

(写真は、準々決勝の中部商業戦で完封勝利をあげたときの宮國君。うしろ姿は、RBCスポーツキャスターの宮城すずのさんです)
高校野球・沖縄大会決勝戦を振り返って。



島袋陽平捕手は、この日6回、1対1に追いつくソロホームランを、興南エース、島袋洋奨投手から放った。「あれは何も考えずに振っただけです」と努めて謙虚に、そして笑顔で語ろうとしていた。

試合中盤までは互角の展開だった。勝負のアヤはどう転ぶかわからない、緊張感の持続する流れをますます緊迫させる一打だった。

「でも、興南の打線は、(7回に見せたような)畳み掛ける集中力が、他のチームとは違いました。僕たちは本当に甲子園に行きたかったので悔しいですけど、興南高校は強いので、甲子園でも期待しています。夏も優勝できる力を持っていると思います。だから、堂々と戦ってきてほしいです」

島袋陽平君は、最後にこう言った。
「この仲間との野球が終わるのが、嫌です」

努めて明るい表情を見せていた彼の口元が、そのときばかりは変化した。あふれ出る感情をおさえこもうとして、唇をぎゅっと真一文字に結ぶ形になっていた。

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高校野球・沖縄大会決勝戦を振り返って。


(試合が終わったときには、こんな青空)

高校野球・沖縄大会決勝戦を振り返って。




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今も雨は、時折激しさを増し、降り続いている。
犬と散歩に出かけることもままならない感じである。
きょうは夜まで、原稿書きに専念しよう。

では、本日も良き一日になりますように。




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Posted by watanatsu at 10:50 │高校野球