2009年08月19日
「那覇・ガーブ川水難事故」極私的ニュース解説。
世の中、自分ひとりの力では、いや、人間の力ではどうしようもないことが、しばしば起こる。
災害や事故などで犠牲者、被害者となられた方に対しては、誠に恐縮だが、今のわたしには、ただひたすらご冥福をお祈りし、そしてお見舞いを申し上げるぐらいしかできない。
本日午後、仕上がったひとつの原稿をメール送信してから、遅い昼食用の弁当を買いに、散歩がてら行きつけのスーパーへ向かった。そして驚いた。
警察や消防の緊急車両が、やたらとサイレンを鳴らして走り回っている。
上空には、ヘリコプターの音。見上げればその機影は、報道用のヘリ。わたしの頭上、非常に近い場所で旋回している。この時点で、ご近所で、事件または事故が起きている、と知らされたわけである。
これがずっと気になっていたので、先ほどテレビで、ローカル・ニュースとNHKの「ニュース7」を見た。
そして事実が飲み込めた。那覇市内を流れるガーブ川で水難事故が起きていたのだ。
ガーブ川は、わたしがよく行く与儀公園の那覇市立中央図書館の横を流れている川。散歩コースで折々に目にする馴染みのある川。川というより、市街地の雨水を海へ流すための水路といったほうがよいかもしれない。ただ普段から生活排水もかなり流れ込んでいて、見た目は決して美しい流れとは言えない。水位は、通常は低い。
そのガーブ川に掛かる小さな橋(農連市場の脇に掛かっている、古いコンクリートの橋だ)の強度調査の作業をしていた男性6名のうち5名が、局所的な降雨(ウチナー口では、カタブイという)による鉄砲水で流され、1名は1時間半後に1キロほど下流で無事救助されたが、4名の方が行方不明のままであるという。
無事だった作業員の男性によれば「足首ぐらいの水位が、あっという間に、胸の高さまで上がってきた。しばらくロープやハシゴにつかまっていた人も、結局流されてしまった」とのこと。なんとも表現のしようのない不幸である。
ある局のニュースでは、日没と同時に救出作業はいったん打ち切られる予定だと伝えていたが、家族・関係者はどんな気持ちでいるだろうか。感想の言葉がなくなってくる。
ただただ無事を祈るしかないが、行方不明の男性の父親らしき老人が、テレビのマイクを向けられ、「半分あきらめているが、しかしずっと水のなかにおいておくわけにはいかん」と涙をこらえていた。「親としては納得がいかない」とも。。。
このガーブ川は、農連市場付近から現在のジュンク堂書店(旧ダイナハ)付近まで、川面にフタがされて、地下水路のかたちをとっている。つまり観光客にもお馴染みの牧志公設市場付近のたくさんの店舗が、ガーブ川の上で営業していることになる。
一人の男性が救助されたのは、地下水路の部分を、農連市場から牧志の市場の下を通過して、ジュンク堂付近まで流された地点であったらしい。
この川も含めて、那覇市内には、集中豪雨で急激に水位の上がる危険な箇所がいくつもある。行政に携わる皆さんには、さらなる研究と対策をお願いするしかない。
ニュース7では、このガーブ川は米軍統治時代から氾濫洪水を繰り返してきた、と報じていた。
全国ニュースで沖縄の水難事故の背景(の一端)を即座に詳しく説明できたのは、担当キャスターの武田真一アナウンサーが、自ら赴任先として希望して、最近2年間を沖縄で勤務した経験者だからかも、とふと思ったりした(そう言えば、先日の「米軍ヘリ墜落事故から5年」の話題を扱った東京発のニュースは「ニュース7」だけだった気がしていたが、本日、二つの報道が思いがけず繋がったわけである。たまたまだよ、と言われれば、頷くしかないけれども)。
物書きというのはやっかいな性質を持っている。
気になることを書き留めておかないと、他の仕事に影響したりする。
じつは、わたしの場合、ブログを始めて余計にそう思うようになった。きょうも本当は、取り組むべき仕事がしっかりたまっている。本当は、ブログをいじっている場合ではないかもしれない。
しかし、このニュースを素通りしてしまうほうが、よほど精神衛生上よろしくない、と判断した次第。このブログを読んでいる、わたしの仕事上の関係者の皆さんへ、言い訳しているようなものだが、事実は事実としてご報告するしかない。
物書きというもの、周囲の出来事に過敏に反応するぐらいの感受性をもっていないと、仕事は何ひとつ始まらない。その上に、もちろん「思索」という作業が待ち構えている。
しかし、少々のことでは動じない、無神経とさえ思われるような図太さも、時には必要である。しょっちゅう自分で開き直れるぐらいでなければ、身がもたない。
わたしはいい歳をして、未だにそのバランスの取り方が下手くそである。しかし、きょうは開き直って、ブログに向き合った次第である。
いま書いた「物書き論」の部分は、「自己正当化文」に等しいものなので、すぐに忘れていただいて結構ですが、本日の水難事故については、少しでも何かを感じ、皆さんの記憶にも残していただければ、と思います。
沖縄では、新型インフルエンザに対する警戒も、いよいよ必要な状況になっております。
このところ心配してくれていた人たち、ありがとうございます。全国どこでも油断は禁物のはず。むしろお互いに気をつけましょう。
午後の大雨がうそのように、先ほど美しい夕焼け空が広がっていました。行方不明の皆さんの無事に、近所に住む人間の一人として、あくまで望みを繋ぎたいと思います。
では、また明日。皆さんにとって、無事な一日となることを祈りつつ。
追伸:「緊急のお知らせ」という記事に書きましたとおり、コメント欄を閉鎖せざるを得ず、この記事で複数の読者の方と交わしたコメントも見られない状態になってしまいました。
「命のありがたみ」を訴える、水難に遭遇された方の親族と思しき方からのコメントもありました。わたしはコメント欄で、4名の方は助からなかったとご報告し、つつしんでご冥福をお祈り申し上げた次第です。
ここに改めて、補足させていただきます。合掌。
災害や事故などで犠牲者、被害者となられた方に対しては、誠に恐縮だが、今のわたしには、ただひたすらご冥福をお祈りし、そしてお見舞いを申し上げるぐらいしかできない。
本日午後、仕上がったひとつの原稿をメール送信してから、遅い昼食用の弁当を買いに、散歩がてら行きつけのスーパーへ向かった。そして驚いた。
警察や消防の緊急車両が、やたらとサイレンを鳴らして走り回っている。
上空には、ヘリコプターの音。見上げればその機影は、報道用のヘリ。わたしの頭上、非常に近い場所で旋回している。この時点で、ご近所で、事件または事故が起きている、と知らされたわけである。
これがずっと気になっていたので、先ほどテレビで、ローカル・ニュースとNHKの「ニュース7」を見た。
そして事実が飲み込めた。那覇市内を流れるガーブ川で水難事故が起きていたのだ。
ガーブ川は、わたしがよく行く与儀公園の那覇市立中央図書館の横を流れている川。散歩コースで折々に目にする馴染みのある川。川というより、市街地の雨水を海へ流すための水路といったほうがよいかもしれない。ただ普段から生活排水もかなり流れ込んでいて、見た目は決して美しい流れとは言えない。水位は、通常は低い。
そのガーブ川に掛かる小さな橋(農連市場の脇に掛かっている、古いコンクリートの橋だ)の強度調査の作業をしていた男性6名のうち5名が、局所的な降雨(ウチナー口では、カタブイという)による鉄砲水で流され、1名は1時間半後に1キロほど下流で無事救助されたが、4名の方が行方不明のままであるという。
無事だった作業員の男性によれば「足首ぐらいの水位が、あっという間に、胸の高さまで上がってきた。しばらくロープやハシゴにつかまっていた人も、結局流されてしまった」とのこと。なんとも表現のしようのない不幸である。
ある局のニュースでは、日没と同時に救出作業はいったん打ち切られる予定だと伝えていたが、家族・関係者はどんな気持ちでいるだろうか。感想の言葉がなくなってくる。
ただただ無事を祈るしかないが、行方不明の男性の父親らしき老人が、テレビのマイクを向けられ、「半分あきらめているが、しかしずっと水のなかにおいておくわけにはいかん」と涙をこらえていた。「親としては納得がいかない」とも。。。
このガーブ川は、農連市場付近から現在のジュンク堂書店(旧ダイナハ)付近まで、川面にフタがされて、地下水路のかたちをとっている。つまり観光客にもお馴染みの牧志公設市場付近のたくさんの店舗が、ガーブ川の上で営業していることになる。
一人の男性が救助されたのは、地下水路の部分を、農連市場から牧志の市場の下を通過して、ジュンク堂付近まで流された地点であったらしい。
この川も含めて、那覇市内には、集中豪雨で急激に水位の上がる危険な箇所がいくつもある。行政に携わる皆さんには、さらなる研究と対策をお願いするしかない。
ニュース7では、このガーブ川は米軍統治時代から氾濫洪水を繰り返してきた、と報じていた。
全国ニュースで沖縄の水難事故の背景(の一端)を即座に詳しく説明できたのは、担当キャスターの武田真一アナウンサーが、自ら赴任先として希望して、最近2年間を沖縄で勤務した経験者だからかも、とふと思ったりした(そう言えば、先日の「米軍ヘリ墜落事故から5年」の話題を扱った東京発のニュースは「ニュース7」だけだった気がしていたが、本日、二つの報道が思いがけず繋がったわけである。たまたまだよ、と言われれば、頷くしかないけれども)。
物書きというのはやっかいな性質を持っている。
気になることを書き留めておかないと、他の仕事に影響したりする。
じつは、わたしの場合、ブログを始めて余計にそう思うようになった。きょうも本当は、取り組むべき仕事がしっかりたまっている。本当は、ブログをいじっている場合ではないかもしれない。
しかし、このニュースを素通りしてしまうほうが、よほど精神衛生上よろしくない、と判断した次第。このブログを読んでいる、わたしの仕事上の関係者の皆さんへ、言い訳しているようなものだが、事実は事実としてご報告するしかない。
物書きというもの、周囲の出来事に過敏に反応するぐらいの感受性をもっていないと、仕事は何ひとつ始まらない。その上に、もちろん「思索」という作業が待ち構えている。
しかし、少々のことでは動じない、無神経とさえ思われるような図太さも、時には必要である。しょっちゅう自分で開き直れるぐらいでなければ、身がもたない。
わたしはいい歳をして、未だにそのバランスの取り方が下手くそである。しかし、きょうは開き直って、ブログに向き合った次第である。
いま書いた「物書き論」の部分は、「自己正当化文」に等しいものなので、すぐに忘れていただいて結構ですが、本日の水難事故については、少しでも何かを感じ、皆さんの記憶にも残していただければ、と思います。
沖縄では、新型インフルエンザに対する警戒も、いよいよ必要な状況になっております。
このところ心配してくれていた人たち、ありがとうございます。全国どこでも油断は禁物のはず。むしろお互いに気をつけましょう。
午後の大雨がうそのように、先ほど美しい夕焼け空が広がっていました。行方不明の皆さんの無事に、近所に住む人間の一人として、あくまで望みを繋ぎたいと思います。
では、また明日。皆さんにとって、無事な一日となることを祈りつつ。
追伸:「緊急のお知らせ」という記事に書きましたとおり、コメント欄を閉鎖せざるを得ず、この記事で複数の読者の方と交わしたコメントも見られない状態になってしまいました。
「命のありがたみ」を訴える、水難に遭遇された方の親族と思しき方からのコメントもありました。わたしはコメント欄で、4名の方は助からなかったとご報告し、つつしんでご冥福をお祈り申し上げた次第です。
ここに改めて、補足させていただきます。合掌。
Posted by watanatsu at 20:27
│時事問題
この記事へのコメント
被害を受けられた方のご無事をお祈りしています。
個人的に、
少しだけ沖縄に縁があったので、
事故のあったところをイメージ出来るの分、
他人事とは思えない気分です。
すぐ近くの気象庁の観測所では、
同時刻にわずか5ミリしか降っていないと聞きました。
それほど、ピンポイントで集中した豪雨だったようですね。
個人的に、
少しだけ沖縄に縁があったので、
事故のあったところをイメージ出来るの分、
他人事とは思えない気分です。
すぐ近くの気象庁の観測所では、
同時刻にわずか5ミリしか降っていないと聞きました。
それほど、ピンポイントで集中した豪雨だったようですね。
Posted by myao
at 2009年08月19日 22:10

心が痛むニュースでした。
沖縄市でも昼頃少し降りましたがお湿り程度でした。
先日うちが停電した時に那覇は晴天だったみたいな差でしょうか。
先ほどニュースを聞いて愕然としていたところです。
どうかご無事でありますように。
沖縄市でも昼頃少し降りましたがお湿り程度でした。
先日うちが停電した時に那覇は晴天だったみたいな差でしょうか。
先ほどニュースを聞いて愕然としていたところです。
どうかご無事でありますように。
Posted by なかの町子
at 2009年08月19日 23:11

myaoさん
なかの町子さん
コメントありがとうございました。
行方不明の4名の方は、残念ながら皆さん助かりませんでした。
つつしんでご冥福をお祈り申し上げたいと思います。
なかの町子さん
コメントありがとうございました。
行方不明の4名の方は、残念ながら皆さん助かりませんでした。
つつしんでご冥福をお祈り申し上げたいと思います。
Posted by natsuhiko watase
at 2009年08月20日 09:40

身内でこんな事が
おこって、命があって
生きてることが
幸せだと改めて
実感しました
おこって、命があって
生きてることが
幸せだと改めて
実感しました

Posted by 、 at 2009年08月20日 11:09
水難に遭われた方のお身内でいらっしゃいますか。。。
わざわざコメントを残して下さり、恐縮です。
犠牲になられたお一人おひとりには、
改めてご冥福をお祈りすることしかできませんが、
いまここに生きている(生かされている)者として、わたくしも、
この命の残り時間、大切に過ごさねばいけないと
痛感しております。
わざわざコメントを残して下さり、恐縮です。
犠牲になられたお一人おひとりには、
改めてご冥福をお祈りすることしかできませんが、
いまここに生きている(生かされている)者として、わたくしも、
この命の残り時間、大切に過ごさねばいけないと
痛感しております。
Posted by natsuhiko watase
at 2009年08月20日 15:24

この記事のコメント欄に書くのもなんですが。
本日、町子。
晴れて原稿をすべて入稿いたしました^^
肩の荷がおりました。報告まで。
wataseさんも締め切り前でたいへんでしょうが
トンネルを抜けたら是非コザに遊びに来てください。
頑張ってくださいね
本日、町子。
晴れて原稿をすべて入稿いたしました^^
肩の荷がおりました。報告まで。
wataseさんも締め切り前でたいへんでしょうが
トンネルを抜けたら是非コザに遊びに来てください。
頑張ってくださいね
Posted by なかの町子
at 2009年08月20日 23:24

町子さん
よかったですね。お疲れさまでした。
わたしは、目の前の締め切りから、
少し先にやってくる「一区切り」へと、
切れ目がないのが苦しいところですが、
感謝して、頑張らないといけませんね。
ありがとうございます。
お目にかかれるのを楽しみにしてます。
よかったですね。お疲れさまでした。
わたしは、目の前の締め切りから、
少し先にやってくる「一区切り」へと、
切れ目がないのが苦しいところですが、
感謝して、頑張らないといけませんね。
ありがとうございます。
お目にかかれるのを楽しみにしてます。
Posted by natsuhiko watase
at 2009年08月21日 01:05
