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2009年11月12日

大橋巨泉氏も「県外・国外」移設にエール。@今週の遺言。

「週刊現代」の今週号(9日月曜日発行、11月21日号。沖縄では3日ほど遅れて発売)が、きょう東京から届きました(編集部の方、毎週ありがとうございます)。
 
 で、大橋巨泉氏の『今週の遺言』は、楽しみにしている連載エッセイのひとつ。

 といっても、若い読者は、巨泉さんにあまり馴染みがないのかな? わたしらオジサン世代にとっては、圧倒的に『11PM』の司会者としての印象が強いはず。『クイズダービー』なんかも結構観てましたなぁ。古き良きテレビ黄金期の画期的バラエティ・クイズ番組。驚異的正解率の「宇宙人」はらたいらさんも、「三択の女王(三者択一の問題に強い)」竹下景子さんも好きでした。いずれにしても、アイディアマン巨泉さん企画の代表作のひとつでしたね。

 さて、一時、民主党参議院議員を務めた経験のある巨泉さんであるからして、エッセイには政治ネタも多いのですが、今週の内容はまさに政治一色。
 
 オバマ大統領来日直前のタイミングでのこのエッセイ、とても興味深いものがありました。

 見開き2Pエッセイの前半部分は、歴史的大敗の総括ができていない自民党批判。
 そして後半部分は、民主党鳩山政権への一定の評価と、それから「普天間」を含む基地問題を抱える沖縄への、巨泉さんの眼差しの質がわかる内容。

「沖縄ファン」が昂じて移住者となったわたしとしては、巨泉さんが未だに沖縄へ来たことがない理由に、ちょっと驚いたりしつつも、そのラディカルな意見(注※ラディカルという言葉には、「過激な」のほかに「根源的な」という意味もあります)にかなり共感を覚えました。いくつかの「言葉遣い」に疑問は生じるけれど、ここではあえて揚げ足はとらず、文章の大意に賛同の意味を込めて引用しましょう。


 巨泉さんは、鳩山由紀夫首相が所信表明演説で「友愛政治の原点」として「政治には弱い立場の人々、少数の人々の視点が尊重されなければならない」と宣言したことを受けて、こう続けます。

《弱い立場の人々、少数の人々といえば、まさに沖縄の人々が思い浮かぶ。異民族である日本人の支配を受け、戦争中は「投降より自決」を要求され、多くの非戦闘員が犠牲になった。その上「返還」後は、全日本の75パーセントという米軍基地を背負わされている。
 
 ボクは佐藤栄作首相の「本土並み返還」という虚言に、テレビで真っ向からかみつき、右翼の攻撃に備えた警視庁の護衛を受けた。もし「本土並み」というなら、各閣僚の居住地にひとつずつ基地を引き受けるべし、と言った。しかし返還は行われ、沖縄県民は新たな負担を強いられている。ボクの主張は、「あれだけの負担をすでにかけたのだから、沖縄を独立させ、日本政府は十分な経済援助をすべき」というもので、それは今もって変わっていない。現在の状況は「卑怯な日本人と可哀そうな沖縄の人々」で、そんな卑怯な日本人が恥ずかしく、「どの面下げて行けるか」という気持が強く、未だに沖縄を訪れていない。

 ボクは普天間基地の問題は、「移転先は県外か国外」という線は一歩も譲れないと思っている。これが実現できなければ鳩山首相は二枚舌、実現させたら戦後最高の首相だと考えている。日本の歴代首相には「角栄トラウマ」があって、アメリカに逆らえば切られるかも知れない、という恐怖感がある。

 しかし田中角栄の「頭越し対中外交」とは時代が違う。その証拠に、鳩山首相の「東アジア共同体」構想に関して、特にアメリカからの反対は聞こえて来ない。アメリカの友人と電話で話したが、アメリカ人は沖縄の基地問題など関心がないと言う。ゲーツ国防長官の恫喝的発言は、単に既得権益を守りたい政治戦術なのだ。仮りにも独立国の首相なら「県外、国外」を認めないなら、〝思いやり予算〟の見直しぐらいの反撃を期待している。くれぐれも友愛の看板を傷つけないで欲しい》


 沖縄県内の読者の皆さんにも、大橋巨泉氏の文章には、「わが意を得たり」という部分があるはず。
 わたしなぞは、巨泉さんみたいな人こそ、ぜひ沖縄へきて現実を見てほしいと思うのですが、皆さんはどう感じられるでしょうか。

 いずれにしても、こういう記事も載っているので、商業週刊誌も捨てたものではないんです。
 大橋巨泉の『今週の遺言』。以後、ご贔屓に。

 11月9日の「スーパーモーニング」において、日米の政権がかわったんだから、普天間基地移設もゼロベースから再検討すればいい、という意味のことを全国の視聴者に向けて言ってくれた鳥越俊太郎さん。
 そして全国発売の商業誌で、こういう文章を披露してくれた大橋巨泉さん。

 これからも、ぜひこのような発言を続けてください。頑張ってください。

 それが、お気楽な移住者といえども一人の沖縄県民に違いないところの、わたくしめからの、ささやかなエールです。





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Posted by watanatsu at 21:18 │時事問題