2009年12月02日
普天間基地移設問題⑩ 急展開!? 極私的ニュース解説。
月の満ち欠けが、いつしかまたひと廻り。
はい、満ちております、お月さま。
きのうが十五夜。きょうは十六夜の満月である。
そしてたまたま、米軍海兵隊の普天間基地を全面返還するとした、SACO(日米特別行動委員会)の最終合意から、本日12月2日で丸13年。
死者に鞭打ってはいけないのだろうが、当時の橋本龍太郎首相の朗々たる声を、今でも瞬時に思い起こすことができる。「普天間飛行場の全面返還」を強調する声明を読み上げたときの、少しばかり得意げなあの声を。
しかし、蓋を開けてみると、その話の中身はとんでもないものだった。
沖縄県内に代替施設を用意することが大前提だというのだ。
経世会(旧田中派)系の国会議員のなかには、案外沖縄の苦しみを理解しようとする政治家が多いらしい、なんぞと油断していたら、とんでもない仕打ちに出てきたのである。
ウチナーンチュでもない、単なる「沖縄ファン」のライターとして沖縄通いを続けていたわたしでさえ、あのときの悔しさは忘れられない。
日本国政府は、沖縄戦で県民に多大な犠牲を払わせ、戦後27年間も米軍支配の島にしておいて、ついに1972年に密約付き(外務省の当時のアメリカ局長が法廷で認めたのはつい昨日のことだが)の沖縄返還を実現させたあとも、国土の0.6パーセントのこの島に在日米軍基地(米軍専用施設面積)の75パーセントを押し付け続けてきた。沖縄県民に半世紀も我慢させて、なおもこの仕打ちである(それから今日まで、さらに13年!!)
95年の米兵による少女暴行事件を受けて、沸点に達した沖縄県民の米軍基地への不満と怒りを「ガス抜き」するために、日米政府が考えついたのが、「普天間返還」の大仰なアピールである。
その時点で、わたしはあきれ果てた。今も昔も、軍事や政治に疎い人間であると自覚しているわたしだが、咄嗟に「こういうのを、騙し討ち、というんだよ」と呟いてしまったことを、今も忘れていない。名付けて「苦しみの沖縄県内たらい回し」。
そこから、話はねじれにねじれて、今日に至っている。普天間返還が、世界の米軍再編というテーマの中に組み込まれて、話がややこしくなってしまった。
しかし、今こそ、騙されてはいけないと思うのだ。
当ブログを訪問してくださる県内外の読者の皆さんには、改めてこう呼びかけさせていただこう。
普天間移設を含む沖縄の基地問題に関しては、日本国民全体できちんと考えるべきことなのに、日本一の部数を誇る読売新聞の社説をはじめ、東京発の大マスコミには、現実を正しく捉えていない論調や、沖縄県民を軽んじる論調、もしくは「対米追従・沖縄切り捨て」の典型というしかない論調も目立つ。沖縄の現実は、やはり沖縄のメディアで確かめていただきたい。沖縄タイムスと琉球新報の社説ぐらいは、WEBでも読めるので、まめにチェックしていただきたい。
たとえば、この十五夜から十六夜にかけて、地元では、こんな社説が打ち出されている。
↓↓↓
沖縄タイムス12月1日社説
【鳩山・仲井真会談】知事の真意が見えない
→http://www.okinawatimes.co.jp/news/2009-12-01-M_1-005-1_001.html
琉球新報12月1日社説
【普天間会談】失われた13年を繰り返すな 海兵隊駐留の是非も論議を
→http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-153584-storytopic-11.html
琉球新報12月2日社説
【橋下知事発言】本土も当事者意識が必要だ
→http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-153630-storytopic-11.html
今改めて、考えたい。
米軍が、少なくとも、最前線戦闘部隊の米海兵隊が、沖縄に駐留し続けなければいけないという論拠が、いったいどこにあるのか。
読売新聞の社説にしろ、NHKの「視点・論点」に出演した川上高司・拓殖大学教授にしろ、「普天間移設は、現行計画しかあり得ない。希少生物の棲む辺野古や大浦湾の美しく豊かな海を破壊しようが、地域住民が被害を受けようが知ったこっちゃない。自公政権とブッシュ政権が作った現行合意案通りに、新基地建設を進めるという結論を、早く出せ」と、鳩山政権に対してひたすら迫っているに等しい。しかもそう主張する人たちは、なぜその現行計画のみが正しいのかという論拠を、きちんと示したためしはない。ただただ、アメリカのご機嫌を損ねたら大変だ、日米関係がおかしくなる、と国民の不安を煽ろうとしているだけである。
本土の人々が味わったことのない地上戦体験の恐怖、米軍基地が身近にあるための(事件、事故、爆音、環境汚染などの)恐怖を知る沖縄県民は、しかも長い間我慢に我慢を重ねてきた沖縄県民は、アメリカ側の多少の恫喝などに、今更あわてたりはしない。
普天間基地を抱えている地元・宜野湾市の伊波洋一市長は、SACO合意13年の節目ということもあって、昨日12月1日、記者会見をした。
一刻も早く普天間基地を撤去してほしいと考えている首長が、このところの新政権の姿勢に、「急ぐな、慌てるな」という意味の警鐘を鳴らしたのである。
↓↓↓
琉球新報12月2日・2面【グアム移転検証要請へ 普天間問題で伊波市長会見】
「県内移設」の拙速結論懸念
→http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-153632-storytopic-3.html
伊波市長によれば、11月20日に米軍が公表したグアム移転のための環境影響評価の資料を見ると、普天間の海兵隊の航空ヘリ部隊もグアムへ移転することになっている、という。県内移設の中止に向け、来週にも首相官邸や外務省、防衛省を訪ねて、グアム移転の検証を要請したい意向だという。
これは重大な記者会見だと思う。
先日当ブログでも紹介しているが、NHKの「視点・論点」で「国外移転」を検討すべきと訴えた、我部政明・琉球大学教授の主張と大いに響き合う。
だが、地元メディアの扱いが小さく思えるのは、わたしだけだろうか。
記者さんたちは、伊波市長の論拠の、いわゆる「裏」を取る暇がなかったのだろうか。
沖縄の地元新聞2紙には、この伊波洋一市長の主張をフォローして、論拠・データを詳しく解説してほしいものである。
沖縄での海兵隊駐留を続けようとするアメリカの本音は、次のようなものだと想像する。いや、素人でも、想像できてしまう(!)。すなわち、、、。
「思いやり」の巨額予算で、「お望みどおりの軍港付きで機能強化の最新航空基地を造ってあげたい」と、われわれの積年の希望に沿って、日本の政府とゼネコン等の側から積極的に言ってくれているんだから、しかも、沖縄県民はいろんな声をあげるだろうが、政府が責任をもって「アメとムチ」で黙らせると言ってくれているんだから、われわれが断る理由はないよ。
単にそれだけのこと、と言えば言い過ぎか。
つまりそれが、自公政権とブッシュ政権の「合意」の本質ではないのか。
一方、今回の結論がこじれたときのことを、百戦錬磨のアメリカ国防総省が想定していないわけがない、と、またしても素人なりに推測ができてしまう。
だからアメリカ側は、グアムへの全面移転も選択肢として、とっくに視野に入れている。
外圧・恫喝に怯えたフリをしつつ、「アメリカ好みの計画」を積極的に推進したがっている官僚と業界の存在がある(大手ゼネコンや県内土建業のみならず、それ以前の海上基地計画の段階で、造船・鉄鋼系大企業が暗躍したことも有名な事実なのだ)。そう考えるのは、ごくごく「自然な想像」と思うが、いかがであろうか。
沖縄タイムス、琉球新報、あるいはテレビ局でもよろしいが、地元沖縄のメディアの有能な報道記者さんには、そこのところを徹底的に明らかにしていただきたいと思うのである。
一方、この3日間、沖縄県民が歓迎すべき発言を続けている知事がいる。
橋下徹・大阪府知事である。
最初11月30日の時点で、沖縄の基地負担軽減について発言したときには、まだわたしは半信半疑だった。
本日のブログ前半で紹介したように、それを受けて、12月1日の沖縄2紙の社説が、橋下発言を取り上げているわけだが、それでもわたしは、橋下さんという人の、パフォーマンスぐせが、ちょっと気になっていた。しかし翌日も橋下知事は、同じような発言を繰り返した。それでもまだ眉に何してしまった。
↓↓↓
沖縄タイムス12月2日
【基地負担 全国で分担を/橋下知事が知事会提起へ 神戸空港も視野】
→http://www.okinawatimes.co.jp/news/2009-12-02-M_1-001-1_003.html?PSID=43979c67bbc38f92ccc6a6612233d3ed
そして12月2日本日も、つまり3日続けて、橋下府知事は沖縄の基地問題について発言した。しかも一歩突っ込んだ発言をするようになっている。
あえて、あの読売新聞、社説担当の論説委員は「沖縄」にとって天敵だというしかない読売新聞の、速報をご紹介しよう。
現場の記者さんは、普通の報道の仕事をしているわけなので、、、。
↓↓↓
読売新聞電子版・12月2日12時54分配信
【普天間問題で橋下知事「知事会で問題提起」】
→http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20091202-OYT1T00577.htm
ここまでくると、疑り深いわたしも、「信じたい」と思えてくる。
橋下知事が本気なら、その姿勢、すこぶる真っ当と言えるし、もちろん沖縄県民は大歓迎である。少なくとも、沖縄県民を敵に回して悪魔のような恫喝発言をした松沢成文・神奈川県知事とは、百八十度違う。
ぜひ頑張ってほしいものである。
ちなみにきょう発見した読売の「普天間」関連の他のニュース記事もまともだったので、ご参照ください。
↓↓↓
読売新聞電子版・12月1日20時36分配信
【普天間問題、首相と関係閣僚が連日の協議】
→http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20091201-OYT1T01124.htm
さらに、先ほど、16時と17時のNHK・BSニュースを見ていたら、北澤俊美・防衛相が普天間移設問題に関して「3党連立を壊して、政治を混乱させるようなことがあってはならない。結論が年を越したからといって、アメリカとの関係が急におかしくなるということはあり得ない」という意味のことを述べていた(例によって一字一句すべてメモしたわけではありません)。県内移設に反対する社民党の意見も尊重するという姿勢だけは示したことになる。
これまた北澤さんにしては「よくできました」と、一つだけマルをあげたい発言だ(もちろん防衛官僚に取り込まれている現実は変わらないだろうが)。
いずれにせよ、今週から来週にかけて、日替わりで様々な角度から放たれるであろう「普天間移設」関連ニュースに、ますます注目せざるを得ない。
しかし、閣僚たちのバラバラ発言に一喜一憂したり、振り回されたりするのではなく、いったい何が本質的に必要な議論なのか、自分自身のなかでしっかり見極め、今後を予測していきたいものである。
新政権発足直後から続く関係閣僚たちのあわてふためいた対応ぶりが間違いであることだけは、誰の目にもあきらかなのだから。
政治の素人のわたしでも、ひとつだけ自信を持って言えることがある。
鳩山由紀夫首相が結論に向かおうとする、遥か手前の段階で為すべきは、近々上京するであろう本来の意味の「地元首長」、重要な当事者である伊波洋一・宜野湾市長と、じっくり腹を割って語り合うことだ、と。
全国的に晴れているところが多いようですが、どうやら今宵は沖縄では満月を拝むことができそうにありません。
しかし、ともかく本日もお疲れさまでした。
明日も良き一日になりますように。
はい、満ちております、お月さま。
きのうが十五夜。きょうは十六夜の満月である。
そしてたまたま、米軍海兵隊の普天間基地を全面返還するとした、SACO(日米特別行動委員会)の最終合意から、本日12月2日で丸13年。
死者に鞭打ってはいけないのだろうが、当時の橋本龍太郎首相の朗々たる声を、今でも瞬時に思い起こすことができる。「普天間飛行場の全面返還」を強調する声明を読み上げたときの、少しばかり得意げなあの声を。
しかし、蓋を開けてみると、その話の中身はとんでもないものだった。
沖縄県内に代替施設を用意することが大前提だというのだ。
経世会(旧田中派)系の国会議員のなかには、案外沖縄の苦しみを理解しようとする政治家が多いらしい、なんぞと油断していたら、とんでもない仕打ちに出てきたのである。
ウチナーンチュでもない、単なる「沖縄ファン」のライターとして沖縄通いを続けていたわたしでさえ、あのときの悔しさは忘れられない。
日本国政府は、沖縄戦で県民に多大な犠牲を払わせ、戦後27年間も米軍支配の島にしておいて、ついに1972年に密約付き(外務省の当時のアメリカ局長が法廷で認めたのはつい昨日のことだが)の沖縄返還を実現させたあとも、国土の0.6パーセントのこの島に在日米軍基地(米軍専用施設面積)の75パーセントを押し付け続けてきた。沖縄県民に半世紀も我慢させて、なおもこの仕打ちである(それから今日まで、さらに13年!!)
95年の米兵による少女暴行事件を受けて、沸点に達した沖縄県民の米軍基地への不満と怒りを「ガス抜き」するために、日米政府が考えついたのが、「普天間返還」の大仰なアピールである。
その時点で、わたしはあきれ果てた。今も昔も、軍事や政治に疎い人間であると自覚しているわたしだが、咄嗟に「こういうのを、騙し討ち、というんだよ」と呟いてしまったことを、今も忘れていない。名付けて「苦しみの沖縄県内たらい回し」。
そこから、話はねじれにねじれて、今日に至っている。普天間返還が、世界の米軍再編というテーマの中に組み込まれて、話がややこしくなってしまった。
しかし、今こそ、騙されてはいけないと思うのだ。
当ブログを訪問してくださる県内外の読者の皆さんには、改めてこう呼びかけさせていただこう。
普天間移設を含む沖縄の基地問題に関しては、日本国民全体できちんと考えるべきことなのに、日本一の部数を誇る読売新聞の社説をはじめ、東京発の大マスコミには、現実を正しく捉えていない論調や、沖縄県民を軽んじる論調、もしくは「対米追従・沖縄切り捨て」の典型というしかない論調も目立つ。沖縄の現実は、やはり沖縄のメディアで確かめていただきたい。沖縄タイムスと琉球新報の社説ぐらいは、WEBでも読めるので、まめにチェックしていただきたい。
たとえば、この十五夜から十六夜にかけて、地元では、こんな社説が打ち出されている。
↓↓↓
沖縄タイムス12月1日社説
【鳩山・仲井真会談】知事の真意が見えない
→http://www.okinawatimes.co.jp/news/2009-12-01-M_1-005-1_001.html
琉球新報12月1日社説
【普天間会談】失われた13年を繰り返すな 海兵隊駐留の是非も論議を
→http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-153584-storytopic-11.html
琉球新報12月2日社説
【橋下知事発言】本土も当事者意識が必要だ
→http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-153630-storytopic-11.html
今改めて、考えたい。
米軍が、少なくとも、最前線戦闘部隊の米海兵隊が、沖縄に駐留し続けなければいけないという論拠が、いったいどこにあるのか。
読売新聞の社説にしろ、NHKの「視点・論点」に出演した川上高司・拓殖大学教授にしろ、「普天間移設は、現行計画しかあり得ない。希少生物の棲む辺野古や大浦湾の美しく豊かな海を破壊しようが、地域住民が被害を受けようが知ったこっちゃない。自公政権とブッシュ政権が作った現行合意案通りに、新基地建設を進めるという結論を、早く出せ」と、鳩山政権に対してひたすら迫っているに等しい。しかもそう主張する人たちは、なぜその現行計画のみが正しいのかという論拠を、きちんと示したためしはない。ただただ、アメリカのご機嫌を損ねたら大変だ、日米関係がおかしくなる、と国民の不安を煽ろうとしているだけである。
本土の人々が味わったことのない地上戦体験の恐怖、米軍基地が身近にあるための(事件、事故、爆音、環境汚染などの)恐怖を知る沖縄県民は、しかも長い間我慢に我慢を重ねてきた沖縄県民は、アメリカ側の多少の恫喝などに、今更あわてたりはしない。
普天間基地を抱えている地元・宜野湾市の伊波洋一市長は、SACO合意13年の節目ということもあって、昨日12月1日、記者会見をした。
一刻も早く普天間基地を撤去してほしいと考えている首長が、このところの新政権の姿勢に、「急ぐな、慌てるな」という意味の警鐘を鳴らしたのである。
↓↓↓
琉球新報12月2日・2面【グアム移転検証要請へ 普天間問題で伊波市長会見】
「県内移設」の拙速結論懸念
→http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-153632-storytopic-3.html
伊波市長によれば、11月20日に米軍が公表したグアム移転のための環境影響評価の資料を見ると、普天間の海兵隊の航空ヘリ部隊もグアムへ移転することになっている、という。県内移設の中止に向け、来週にも首相官邸や外務省、防衛省を訪ねて、グアム移転の検証を要請したい意向だという。
これは重大な記者会見だと思う。
先日当ブログでも紹介しているが、NHKの「視点・論点」で「国外移転」を検討すべきと訴えた、我部政明・琉球大学教授の主張と大いに響き合う。
だが、地元メディアの扱いが小さく思えるのは、わたしだけだろうか。
記者さんたちは、伊波市長の論拠の、いわゆる「裏」を取る暇がなかったのだろうか。
沖縄の地元新聞2紙には、この伊波洋一市長の主張をフォローして、論拠・データを詳しく解説してほしいものである。
沖縄での海兵隊駐留を続けようとするアメリカの本音は、次のようなものだと想像する。いや、素人でも、想像できてしまう(!)。すなわち、、、。
「思いやり」の巨額予算で、「お望みどおりの軍港付きで機能強化の最新航空基地を造ってあげたい」と、われわれの積年の希望に沿って、日本の政府とゼネコン等の側から積極的に言ってくれているんだから、しかも、沖縄県民はいろんな声をあげるだろうが、政府が責任をもって「アメとムチ」で黙らせると言ってくれているんだから、われわれが断る理由はないよ。
単にそれだけのこと、と言えば言い過ぎか。
つまりそれが、自公政権とブッシュ政権の「合意」の本質ではないのか。
一方、今回の結論がこじれたときのことを、百戦錬磨のアメリカ国防総省が想定していないわけがない、と、またしても素人なりに推測ができてしまう。
だからアメリカ側は、グアムへの全面移転も選択肢として、とっくに視野に入れている。
外圧・恫喝に怯えたフリをしつつ、「アメリカ好みの計画」を積極的に推進したがっている官僚と業界の存在がある(大手ゼネコンや県内土建業のみならず、それ以前の海上基地計画の段階で、造船・鉄鋼系大企業が暗躍したことも有名な事実なのだ)。そう考えるのは、ごくごく「自然な想像」と思うが、いかがであろうか。
沖縄タイムス、琉球新報、あるいはテレビ局でもよろしいが、地元沖縄のメディアの有能な報道記者さんには、そこのところを徹底的に明らかにしていただきたいと思うのである。
一方、この3日間、沖縄県民が歓迎すべき発言を続けている知事がいる。
橋下徹・大阪府知事である。
最初11月30日の時点で、沖縄の基地負担軽減について発言したときには、まだわたしは半信半疑だった。
本日のブログ前半で紹介したように、それを受けて、12月1日の沖縄2紙の社説が、橋下発言を取り上げているわけだが、それでもわたしは、橋下さんという人の、パフォーマンスぐせが、ちょっと気になっていた。しかし翌日も橋下知事は、同じような発言を繰り返した。それでもまだ眉に何してしまった。
↓↓↓
沖縄タイムス12月2日
【基地負担 全国で分担を/橋下知事が知事会提起へ 神戸空港も視野】
→http://www.okinawatimes.co.jp/news/2009-12-02-M_1-001-1_003.html?PSID=43979c67bbc38f92ccc6a6612233d3ed
そして12月2日本日も、つまり3日続けて、橋下府知事は沖縄の基地問題について発言した。しかも一歩突っ込んだ発言をするようになっている。
あえて、あの読売新聞、社説担当の論説委員は「沖縄」にとって天敵だというしかない読売新聞の、速報をご紹介しよう。
現場の記者さんは、普通の報道の仕事をしているわけなので、、、。
↓↓↓
読売新聞電子版・12月2日12時54分配信
【普天間問題で橋下知事「知事会で問題提起」】
→http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20091202-OYT1T00577.htm
ここまでくると、疑り深いわたしも、「信じたい」と思えてくる。
橋下知事が本気なら、その姿勢、すこぶる真っ当と言えるし、もちろん沖縄県民は大歓迎である。少なくとも、沖縄県民を敵に回して悪魔のような恫喝発言をした松沢成文・神奈川県知事とは、百八十度違う。
ぜひ頑張ってほしいものである。
ちなみにきょう発見した読売の「普天間」関連の他のニュース記事もまともだったので、ご参照ください。
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読売新聞電子版・12月1日20時36分配信
【普天間問題、首相と関係閣僚が連日の協議】
→http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20091201-OYT1T01124.htm
さらに、先ほど、16時と17時のNHK・BSニュースを見ていたら、北澤俊美・防衛相が普天間移設問題に関して「3党連立を壊して、政治を混乱させるようなことがあってはならない。結論が年を越したからといって、アメリカとの関係が急におかしくなるということはあり得ない」という意味のことを述べていた(例によって一字一句すべてメモしたわけではありません)。県内移設に反対する社民党の意見も尊重するという姿勢だけは示したことになる。
これまた北澤さんにしては「よくできました」と、一つだけマルをあげたい発言だ(もちろん防衛官僚に取り込まれている現実は変わらないだろうが)。
いずれにせよ、今週から来週にかけて、日替わりで様々な角度から放たれるであろう「普天間移設」関連ニュースに、ますます注目せざるを得ない。
しかし、閣僚たちのバラバラ発言に一喜一憂したり、振り回されたりするのではなく、いったい何が本質的に必要な議論なのか、自分自身のなかでしっかり見極め、今後を予測していきたいものである。
新政権発足直後から続く関係閣僚たちのあわてふためいた対応ぶりが間違いであることだけは、誰の目にもあきらかなのだから。
政治の素人のわたしでも、ひとつだけ自信を持って言えることがある。
鳩山由紀夫首相が結論に向かおうとする、遥か手前の段階で為すべきは、近々上京するであろう本来の意味の「地元首長」、重要な当事者である伊波洋一・宜野湾市長と、じっくり腹を割って語り合うことだ、と。
全国的に晴れているところが多いようですが、どうやら今宵は沖縄では満月を拝むことができそうにありません。
しかし、ともかく本日もお疲れさまでした。
明日も良き一日になりますように。
Posted by watanatsu at 18:11
│時事問題