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2010年04月10日

「佐藤優のウチナー評論」を読んで。普天間基地移設問題・39



毎週土曜日の琉球新報には、わが「同級生」のコラム「佐藤優のウチナー評論」が掲載される。

 

当然けさの新聞には、先週のつづきが載っていた。

【「最低でも県外」に沖縄の総力を・下】と題する佐藤氏のコラムを、きょうは全文引用紹介したい。↓↓↓

 

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 日本政府が考える米海兵隊普天間飛行場の移設について、キャンプ・シュワブ陸上部、徳之島、ホワイト・ビーチなどの名が連日新聞をにぎわせている。今後、キャンプ・ハンセンの名が挙げられるかもしれない。沖縄にとって重要なのは、これらの観測気球で出されている案に一喜一憂し、無駄なエネルギーを使わないことだ。それから「沖縄の意思は『最低でも県外』だ。鳩山由紀夫総理は総選挙前にそう言ったではないか。鳩山総理の腹案が沖縄県外であることをわれわれは確信している」と繰り返し言うことだ。

 

 普天間飛行場の移設先がどこになるかを決定する要因は2つある。繰り返しになるが、1つ目は鳩山総理の意思だ。この意思は5月の比較的早い時期に決まる。ここでマキャベリズム(政治的権謀術数)が必要だ。東京の政争を沖縄のために最大限に利用するのだ。

 

 東京の政争は、民主党の小沢一郎幹事長を「生かすか」「たたきつぶすか」を基準に動いている。小沢幹事長が普天間問題について「最低でも県外」の方向性を示唆する発言を繰り返している。筆者の見立てだが、小沢氏は県内移設を強行すれば、7月の参議院選挙、年末の沖縄県知事選挙、そして次回の衆議院選挙において与党が惨敗すると認識している。

 

 雑誌メディアなどで自民党政権時代から県内移設に絡む利権に複数の政治家(現在の一部与党政治家を含む)が結びついていると取りざたされてきた。選挙工学のプロである小沢氏は、敵を利する利権があるならばそれを看過しない。このことを踏まえ、沖縄選出の国会議員が小沢氏を通じ「最低でも県外」を担保するためのロビー活動を精力的に展開することが重要と思う。

 

 東京の政治エリートでは、福島瑞穂消費者担当相、鈴木宗男衆議院外務委員長が、おざわしと動機は異なるであろうが「最低でも県外」の立場に立っている。この2人に働き掛け、福島氏を通じ市民派、鈴木氏を通じ保守派に「最低でも県外」を同調する国会議員を1人でも多くつくる。それとともにこの2人を通じ沖縄県内への移設を画策する官僚の動きを牽制することだ。

 

 2つ目が、ワシントン(米国政府)を意識したロビー活動を展開することだ。メッセージはただ1つ。「デモクラシーに反する、すなわち沖縄県民の意思に反する県内移設を強行すれば、沖縄のすべての米軍基地が住民の敵意に囲まれることになる」ということだ。ホワイトハウスにオバマ大統領に英文で、那覇の米国総領事、東京の米国大使にあてて日本語もしくは英語で手紙を書くことだ。効果がある。そのとき重要なのは、自分の言葉で真心を込めた内容を記すことだ。「小沢一郎」と「米国」が、「最低でも県外」を実現するためのキーワードである。  (作家、元外務省主任分析官)

 

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以上が本日のコラムの全文。「マキャベリズム」「東京の政争」「選挙工学」という言葉が並んだのを目にして、「ああ、いちばんの苦手ジャンルだ」と思ったのは、わたしばかりではないかもしれない。政治の世界に疎い者にとっては、佐藤氏の「見立て」が正しいことを願うばかりである。

 

その上で政治素人の感想を率直に記すなら、小沢氏の鶴の一声に頼るような状況はむしろ危険であり、《「最低でも県外」に同調する国会議員を1人でも多くつくる》ことが重要、という考え方にこそ、同意したい。

 

何度でも断言するが、普天間基地の県内移設は、もはや許されないし、不可能なのである。

 

改めて日本本土の皆さんに、申し上げたい。

国土のわずか06パーセントの面積の島・沖縄に、在日米軍基地(米軍専用施設面積)4分の3を押し付けて平然としている自らの「意識と行動」を、ぜひ振り返ってみてください。

 

いきなり百歩譲って、日米同盟は、それはそれは大切なものなのだと認めましょう。

 

世界一危険な飛行場である普天間基地を閉鎖して、どこかへ移さねばならないというとき、60数年も我慢に我慢を重ねた沖縄県民が、これ以上の基地新設なんかとんでもない、勘弁してくれ、と主張するとき、いったいあなたは、どんな反応をするのだろうか。

 

今、報道を通じて、聞こえてくる「本土の声」は、米軍海兵隊の航空基地はこっちにだって要らない、勘弁してくれよ、という声ばかり。橋下徹大阪府知事の「全国民で沖縄の負担軽減について考えるべき。全国知事会でも議論したい」という趣旨の発言があったにもかかわらず、その後は、尻切れトンボ状態である。

 

全国どこにも要らない基地なら、少なくとも米海兵隊は日本に要らないと、みんなで主張していることに等しい。それでも、沖縄だけは例外だといわんばかりに、「県内移設」を強行しようとするなら、これはもう「沖縄差別」に他ならない。

 

平然と「差別主義者」であることを表明しているに等しい「社説」を抱える読売新聞のような、おバカな大手メディアはたくさん見受けられますが、その流れに、あなたは無意識に加担していませんか、という話です。

 

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今一度、皆さん、考えてみてください。

普天間基地が無くなったって、沖縄には依然として、広大な敷地と爆音で有名な嘉手納基地をはじめ、たくさんの米軍基地は存在しつづけてしまうのですよ。

 

おバカなヤマトンチュが「でも、沖縄は、基地で経済がもっているんでしょ? 基地がなくなったら、ほんとは困るんでしょ?」と言うのを苦々しい思いで聞くことがあります。

 

もちろん、わたしの友人・知人にも基地関連の事業・雇用で収入を得ている人は複数います。一部の軍用地主が莫大な財産を築いているのも事実です。

 

基地返還に当たっては、軍関係の従業員に対する手当てや地主への補償についても、国の責任で十分に対策が立てられるのが大前提でなければいけません。

 

戦後すぐの沖縄など、身内に軍関係の労働に携わっている人のいない家族を探すのが難しかったはずですが、日本の唯一の地上戦が行われ、壊滅的な打撃を受けた状況で、他に仕事がなかったのだから、仕方ありません。

 

そんな沖縄の、現在の沖縄の民意は間違いなく、「普天間基地の移設先は、鳩山さんが約束したのだから、『最低でも県外』へ」なのです。

 

皆さん、沖縄県民の大半は、日本一低い賃金で働かされているんです。沖縄は、所得ワースト1の県であり続けているのです。格差社会の最底辺に置かれているわけです。それでも、沖縄は、基地で潤っているだろうと、あなたは言うつもりですか。

 

あまりに多くの米軍基地の存在が、沖縄経済の発展を阻害していることを、軍事オタクとして知られている前原誠司・沖縄担当相でさえ、公言しています。テレビかラジオかは忘れてしまいましたが、最近も、彼は公共の電波に乗せて「沖縄の米軍基地を整理・縮小しなければいけない、というのが私の(沖縄担当大臣としての)立場です」と明言しているのです。

 

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さて、土日の沖縄は、晴れの予報。

イベント盛りだくさんで、またしても嬉しい悲鳴。

 

きょうは、今から犬と散歩して、久しぶりに自転車の遠乗り予定。

夕方の琉球キングスは外せないし、高校野球も土日は北谷公園野球場で盛り上がります。甲子園組の興南高校、嘉手納高校を、県大会優勝・準優勝の糸満高校、小禄高校が迎えうつ、チャレンジマッチ(夏の大会のシード順位決定戦でもある)

 

沖縄国際大学で行われるあるワークショップのパネルディスカッションを聴きにいく予定もしていたのだが、ちょっと雲行きがあやしくなりつつある(親川裕子さん、この場を借りて、ごめんなさいね)

 

日曜は、奥武山新球場「沖縄セルラースタジアム那覇」の完成披露試合として「首里高校vs那覇高校」の伝統校の一戦も。

 

さあ大変。この土日、朝から晩まで完全外出となりそうです。




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Posted by watanatsu at 10:02 │時事問題