2010年05月19日
読売新聞の「犯罪」。週刊誌の「良心」。

ここ数年、週刊誌を買うという習慣はほとんどなくなっていた。
作り手には申し訳ないが、よほど気になる記事があった場合は、立ち読みか図書館での閲覧で十分だと思えていた。沖縄に住むわたしとしては、常日頃から大いに気にしている「普天間基地問題」すら、まともに扱わない週刊誌に、「意識のギャップ」を感じ続けていた。そのことも影響しているはず。
そのわたしが、このところ何誌も買っている。
先だってご報告したように、「週刊現代」5月22日号のモノクログラビア・ページで、わたし自身が「普天間問題」について、まとまった文章を書かせてもらって以来、他誌の報道もチェックしてみたいという積極的な気持ちが生まれたのは事実。
しかし第一の理由は、今まで「普天間問題」に見向きもしなかった週刊誌編集部までが、トップ記事またはそれに近い扱いで「普天間」の特集を組んでいるから、である。
で、その記事たちをチェックしてみて、週刊誌の「良心」も、まだ捨てたもんではないぞ、と心強い思いを抱いたわたくしめである。これは、間違いなく「鳩山政権の迷走」の効果である。「沖縄の怒り」を、さすがにマスメディアも無視できなくなってきたのである(恐ろしいことに意図的に無視しているメディアもあるが)。
そうして雑誌編集者たちが、「普天間問題」って、なんかおかしくないか、本当はどういうことなんだ、と、ようやく研究する気になってくれた。
もちろんその中には、箸にも棒にもかからぬひどい記事がある。拙劣な取材をもとに「沖縄の民意」に対してケンカを売っているだけのものもある。しかし、そんな雑誌は買わなければよいだけの話。
最新号で、非常に真っ当な記事を載せているのは、先週号に引き続き「週刊朝日」(5月28日号)。週刊朝日は編集長方針もあって、早くから「普天間問題」に取り組んでいる数少ない週刊誌だから、当然ともいえる。やや意外だったのが(失礼)、「週刊SPA!」(5月25日号)である。こちらも週刊朝日同様、トップ記事としての重要な扱いがなされている。
この2誌の記事は、多くの新聞記者たちが書かない(書こうとしない)部分に果敢に切り込んでいて、大変お勧めである。いや、必読と言える。
タイトルだけでもご紹介すると、「週刊朝日」は、
『普天間基地移設 沖縄「県外」への道はある!
鳩山首相が隠し持つ最後の「腹案」』
そして「週刊SPA!」は、
『普天間返還後の基地建設は必要ない!』
沖縄に基地を造りたいのは、実は日本のほうだった。
辺野古に基地ができても、海兵隊の沖縄撤退は既定路線
きょうのわたしは、これ以上詳しく解説する時間の余裕はない。
皆さん、編集部を励ます意味でも、ぜひ買って読んでください(沖縄を含む地方での発売日は、少しズレるはずですが)。本当に、まともな記事なので。
一方、先ほど、朝の民放のワイドショーをなに気なく眺めていて、聞き捨てならないニュースがあった。
「本日の新聞(朝刊)紹介」のようなコーナーで、「対米追従・沖縄切り捨て」の「確信犯」として有名な、あの読売新聞が、1面トップでデカデカと、『結局、辺野古「埋め立て」』の見出しを躍らせ、許しがたい記事を載せているのだ。
この新聞に良識ある記者さんが在籍していることも知っていますが、しかし「犯罪的論説」を繰り返し、世論をミスリードする記事を繰り返し垂れ流す新聞であることは歴然とした事実なわけで、わたしはずいぶん前から、個人的不買運動に突入しております。なので、すぐにネットで確認した。この記事だった。
→http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100518-OYT1T01222.htm?from=top
許しがたい。
ジャーナリズムとは名ばかり。「政府筋」という名の官邸または官僚のリーク情報をもとに、世論を間違った方向へ誘導しようとしているだけである。アメリカの都合のよいように、アメリカに付き従ってきた官僚たちの都合のよいように、情報操作に加担しているだけである。
何度でも断言するが、「辺野古現行案」など、実現不可能である。
沖縄県民が絶対に許さない。
不可能なものを、「アメリカのお好み」「過去の日本側推進派の希望」というだけの論拠に基づいて、さも最終案らしく見せかける。それを「鳩山民主叩き」の道具に使う。
これはもう、「メディアの犯罪」と呼ばれても仕方のない行為だ。
ここまで「沖縄の民意」を踏みにじり、アメリカの都合ばかり優先する新聞が、日本一の部数を誇っているのだから、「嘆かわしい」というレベルで済む話でもない。
良識ある読者はこんな犯罪的記事に惑わされないだろうが、しかし、怖いのは、「沖縄の現実」や「米軍再編の中身」に対して基礎知識の足りない人が読めば、「ああ、やっぱり辺野古しかないんだ」と思い込まされる危険がある。
ただでさえ、「沖縄の民意」に無理解で「沖縄の歴史と現実」を学ぼうとしない閣僚や官僚に対して怒っている沖縄県民である。その上、このような日本一の部数を誇る「子供だまし新聞」にも、厳重な抗議をしなければいけないとすれば、情けなさ過ぎる。
まったく腹立たしい限りだが、これを一過性の怒りにとどまらせずに、これからも冷静に物事の本質を見つめる目を失わないようにしよう。
ウチナーンチュの皆さん、そして、心あるヤマトンチュの皆さん、めげずに頑張りましょうね。戦後沖縄の歴史の重大な転換点に、わたしたちは今まさに立ち会っているのですから。
朝から、猛烈に怒っているわたくしめですが、しかし皆さんにとって、本日も穏やかな良き一日となりますように。
Posted by watanatsu at 08:28
│時事問題