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2010年12月20日

菅直人沖縄訪問と「佐藤優のウチナー評論」

週末は、わたしが事前告知した以外にも、ビックイベント花盛り。
それらに触れる前に、やはり避けては通れないことがある。


菅直人首相のおバカな沖縄訪問が、金曜、土曜、わずかな時間で終了した。
そのことを、やはりしかと記憶にとどめておきたいのだ。

沖縄県民の総意を無視した日米合意による「辺野古新基地建設計画」の押し付け。
沖縄振興予算(アメ玉)を目の前にちらつかせた自民党政権以来続く、おぞましい「アメとムチ」政策の続行の意思表明。
普天間や辺野古の上空を自衛隊機で飛んで視察終了。
鳩山前首相が行った対話集会どころか、ただ一人の一般市民とも会わず、現場で苦しむ人の意見を露ほども聞かず、沖縄を去る際に残した言葉は「意見の違いはあるが、丁寧に議論を積み重ね進めていくことができる訪問になった。今後、コミュニケーションを深める大きな一歩になった」



全国の皆さん、沖縄訪問のおバカな実態は、琉球新報、沖縄タイムス、両紙の公式サイトや、「地元紙で識るオキナワブログ」→http://michisan.ti-da.net/ などを見ていただきたい。

昨日の沖縄タイムスの社説は必読。
[菅首相来県]辺野古推進の地固めか
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2010-12-19_12975/

一方、沖縄で連日、大きく報じられている「普天間問題」を、「全国民共通の話題であるはずの沖縄の基地問題」を、東京発の大手メディアがおざなりなかたちで、あるいは誤解を生むかたちで、もしくは「確信犯的世論誘導」を狙うかたちでしか伝えないことには、とっくに怒りを通り越して、あきれ果てている。

けれども、いや、だからこそ、わたしたちは語り続けることをやめるわけにはいかない。
ささやかでも、粘り強く、発信し続けるしかない。

「沖縄にこれ以上の新基地建設は、絶対に不可能」
「普天間基地の辺野古への移設は、実現可能性ゼロ」

本来ならば、その「真実」を踏まえてアメリカ側と交渉し直すのが、首相としての最低限の務めである(当然、前首相の鳩山氏はそのために一歩踏み出さねばならなかったのに、途中で務めを投げ出した)。

そうしてはじめて「普天間問題」は「全国民の問題」として改めて注目され、真の問題解決を目指した議論をやり直すことができるのだ。

ああそれなのに。。。。地域主権や政治主導どころか、民意そのもの(民主主義の根本)を踏みにじって恥じない政治家たちが、政党内の実力者を追い落とすことで内閣支持率を回復しようとたくらみ、権力抗争に明け暮れている。笑止千万だ。

あえて今、「小沢一郎元代表が首相になっていたなら、、、、」と、考えてみよう。
実現不可能であることが判明した「日米合意」を見直すための話し合いの作業を、両国間で、今頃はもう始めていたはずである。わたしは、小沢氏の政治手法、政治姿勢のすべてを支持するものでは決してないが、それでも、少なくとも「普天間問題」に関しては、菅氏よりは遥かにまともな、すなわち「普通の感覚」の「普通の論理」を、代表選の際にわれわれに呈示してみせていた。いわく「沖縄の人の大半が反対しているんだから、(日米合意の)実現は難しいでしょう。もう一度、アメリカと話し合うことが必要」。

だから、去る民主党代表選の際には、沖縄県内の地方議員、民主党員、サポーター票の大半が、小沢氏に投じられた。そのことを忘れてもらっては困る。沖縄選出民主党国会議員が二人とも、小沢氏を支持したことも言うまでもないだろう。

沖縄の民意を踏みにじって平然としている菅直人氏が、支持を集めるはずがないのである。

12月18日(土)の琉球新報に掲載された連載コラム「佐藤優のウチナー評論」において、佐藤優氏(作家・元外務省主任分析官)は、その書き出しをこう始めている。
《17日から菅直人首相が沖縄を訪問している。今朝の琉球新報と沖縄タイムスに菅首相が直接目を通す可能性があると思いながらこのコラムを書いている》

そのコラムの全文は、こちらで紹介してくれている。
http://michisan.ti-da.net/e3281435.html

菅直人沖縄訪問と「佐藤優のウチナー評論」




               *

(突然、ここから私信風になりますが)

佐藤さん、沖縄の血をひく人として、また中央官庁で働いた経験のある人として、あなたがその双方(「沖縄」と「霞が関・永田町」)に軸足を置きつつ書かれるこの連載コラムをわたしはいつも注目しています。

一方、佐藤さんの言われる「国家統合」の重要性については、いまだに理解できていないわたしです。
極論すれば、このまま日本政府が酷い仕打ちを続けて、沖縄人の間に「独立」の気運が高まるのなら、わたしは素直に同意したい、と思うような人間なのです。

しかし現実には「沖縄県民」は「日本国民」としての立場をまだ選び続ける可能性が強い、と肌で感じていますから、現時点では、佐藤さんの問題提起の仕方は大いに意味がある、と考えます。

それにしても、菅直人氏を洗脳した外務・防衛官僚、それに連なる政治家の力はあなどれませんね。いえ、その人たちを見事に洗脳し尽くしているいわゆる「ジャパン・ハンドラー」(=日本を操れると考えているアメリカの知日派エリート官僚・政治家)たちの実力こそは恐るべし、というべきなのでしょうか。こういう人たちの天敵の代表が、小沢一郎氏ですよね。

いずれにしても、佐藤さんの18日のコラムを読んだかもしれない菅首相の「洗脳された頭」が覚醒する時は、まだまだやって来そうにありませんね。じつに腹立たしい限りです。

それでも、わたしは地道に「沖縄からの発信」を続けたいと思っています。
正義はあちら側にはありませんので、普天間移設ではなく、「普天間全面返還」が達成される日を信じることができるからです。

ここ数日冷え込んでいた沖縄も、きのうきょうは、穏やかな晴天に恵まれています。
この年の終わりに向けて、そろそろわたしも、様々な出来事を少し整理して考える作業に入りたいと思います。

「普天間問題」を中心に据えた「沖縄からの発信」の方法について、今あらためて考えているところでもあります。

では、また。



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Posted by watanatsu at 12:27 │時事問題