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2011年05月08日

あの日経新聞でさえ、「辺野古移設を疑う」報道。

以前から読んでくださっている方にはくどいかもしれないが、当ブログで、何度も何度も、自信をもって断言してきたことがある。

ずばり、日米合意に基づく「米軍普天間飛行場(普天間基地)の辺野古周辺への移設計画」など、実現可能性ゼロだということ。不可能である、ということ。軍事的にも根拠がないし(「抑止力」がまやかしであったことは、周知のとおり)、だいいち沖縄県民が「移設に名を借りた新基地建設」など、絶対に許さない。かつて移設容認派であった仲井真弘多知事でさえ、昨秋の知事選で180度方針を転換し、「日米共同声明見直し要求、県外移設の実現」を堂々と公約に掲げ、再選されたのだ。一部、基地建設推進利権に執着する者が存在するのも、彼らが政府関係者に秋波を送ってしまっているのも事実だが、超党派の「沖縄の民意」は「県内移設反対」であると思ってもらって間違いないのである。

日米官僚のご都合で沖縄に押し付けようとしてきた「新基地建設計画」(本当に、沖縄の負担軽減とは名ばかり)を、どんなに産経新聞の「主張」(他社の「社説」に当たる。おバカなマスコミの代名詞みたいなもの)などが支持しようが、デタラメな「民意無視」の計画が破たんするのは、目に見えていた。

そこへもってきて、ウィキリークスが暴いた日本発の米国公電(ウィキリークスは最高ランクの機密扱いの公電までは入手できていないことを認めているが、秘密扱い、極秘扱いの公電を多数公表した)がクローズアップされた。面白いことに、これを軽く扱っているか、ほとんど無視を決め込んでいるメディアがある。自己保身のためか、世論誘導を狙ってのことか知らないが、結果的に、自身の首を絞めることになるだろう。「民意無視のメディア」の「A級戦犯」として、後々断罪されることだろう。

ともかく、ウィキリークスが明らかにした米国公電によって、デタラメな辺野古移設計画を推進したいがために、鳩山政権の足を引っ張り続けた外務・防衛両官僚たちの存在があきらかになった。日本国民の税金で雇われていながら、アメリカの国益のために働くことに熱心な官僚たち(そういう輩が出世する仕組みが出来上がっているらしい)。

わたしから言わせれば、状況証拠から見ておよそ推察できていた中身だが、ウィキリークスが内部告発者の協力を得てこうして暴いてくれなければ、想像の範疇にとどまってしまっていた事実の数々。ウィキリークスの存在意義を、改めて、素直に高く評価したい。

そんなときに、ワシントンからこんなニュースが届いた。もちろん沖縄地元紙も、国民新党下地幹郎幹事長らが訪米し、普天間問題について米国関係者の意見を聴いた事実を伝えている。だが、わたしが注目したのは、これまで、読売・産経と並んで「つべこべ言わず辺野古にとっとと基地を造れ」と言わんばかりの社説を発表してきた(すなわち私流に言わせれば、おバカなマスコミの一つ)日経新聞が、いまこのタイミングで、ワシントン発のこの記事を送ってきた意味である(この記事に注目したきっかけは、那覇市議会の平良識子議員のツイッターで知ったことにある。この場を借りて、平良さんに感謝したい)。

この記事に諸手をあげて称えるのではない。今後も注意深く見守っていきたい日経の報道姿勢ではある。
しかし、いずれにしても、読んでいただく価値のある記事なので、全文引用紹介する。



◆普天間の辺野古移設、米国議会からも見直し論
日本経済新聞電子版 2011/5/7 23:39

 【ワシントン=中山真】米議会でも普天間基地の名護市辺野古への移設計画の見直し論が強まってきた。辺野古移設が進まなければ、セットで実現する予定の米海兵隊のグアム移転計画の予算も削減圧力を受ける可能性があるためだ。上院のレビン軍事委員長は近く普天間問題に関する提言をまとめ、ゲーツ国防長官に提出する方針だ。
 レビン氏は4月にウェッブ東アジア・太平洋小委員長らと沖縄とグアムを訪問したばかり。5日には訪米した国民新党の下地幹郎幹事長や自民党の塩崎恭久元官房長官ら超党派議員団と会談し、辺野古への移設は困難と言明。3年以内に着工できなければ移設計画を白紙にすべきだと主張した下地氏らの意見も参考にすると述べた。
 海兵隊のグアム移転経費は普天間移設計画が遅れたあおりを受け、当初見積もりの約100億ドルを上回る見通し。米議会では米側の負担増となることに警戒感が強い。辺野古への移設計画の見直し論もこうした動きが背景にある。
 ジョーンズ前大統領補佐官、メア前国務省日本部長らも5日、下地氏らに辺野古移設は困難と明言。7月には予算削減の手腕に期待がかかるパネッタ中央情報局(CIA)長官が国防長官に就任する予定で、政府内では計画が仕切り直しになるとの見方も浮上している。

(引用終了)

わたしたちが常に注意したいのは、メディアによって(記者によって)、事実の伝え方はどうとでも変わるということ。産経新聞のようなおバカな報道にに惑わされないためには、やはり沖縄の新聞をしっかり読んでいただかなければならない。その流れのなかで冷静に、この日経新聞の記事の位置づけをしたい。

何はともあれ、「沖縄の民意」をぜひフォローしつづけてほしいと思う。

普天間問題は、昨年5月、日米合意が自公政権の辺野古案に回帰して一件落着、なんて思っている人がいたら、とんでもない間違いである。

普天間問題の議論は、ウィキリークスの助けもあって、ようやく今、さまざな欺瞞が浮き彫りになったところだ。スタートを切ったばかり、というべきなのである。そういうわけなので、全国の皆さん、ゆたしくうにげーさびら。



さぁ、きょうも琉球キングスの試合を観戦・取材にこれから出かけよう。
有明コロシアム行きをビシッと決めてくれるはずである。

スポーツと政治をごっちゃに語ってはいけないと知りつつも、つい、こう呟いてしまう自分がいる。


沖縄は、負けない。




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Posted by watanatsu at 10:51 │時事問題