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2016年06月02日

【元海兵隊員の米軍属による強姦殺人遺体遺棄事件】を受けて。


大変ご無沙汰いたしました。

5月31日未明にFacebookに投稿した記事を当ブログでもアップします。

               * * *


【哀悼の表現について】

5月28日(土)、ネイバーフッドチャーチ沖縄が呼びかけ、最大100人ほどの米軍人軍属及び家族らが参加した「沖縄と共に悲しんでいます」「沖縄のためにお祈りしています」という意思表示の行動が、どうやらネトウヨ界隈で共感・絶賛の嵐を呼んでいるようだ。
twitterやfacebookで、つい情報拡散の手伝いをしてしまった、という一般の人も少なくないようだ。

一方、カルト教団・幸福の科学=幸福実現党と深い関係のあるアメリカ人がこの行動にプラカードを持って参加していたり、あるいはかつて辺野古ゲート前の新基地建設阻止行動において過剰警備によるケガ人が続出していることに関して「お笑いぐさ」と侮辱する問題発言をした海兵隊報道部次長がこの教会の重要な役割を担っていることが判明し、さらにはこの度の行動を「美談」としてひたすら拡散しようとしたのがネトウヨ代表選手のような人物だったりすることから、「ほら見たことか、信用ならない集団の行動だ」という声も湧き起こっている。

わたしもこの行動に参加した米軍人軍属や家族の動機は、「善意」からなのだと信じたいと思う。
そうではあるがしかし、ちょっと待った!! と言わねばならぬ点は、当然ある。

そもそも、あれほどの凶悪犯罪が起きた事実を、いや、これまであまりにも多くの凶悪犯罪が米軍関係者の手で繰り返し引き起こされてきた現実と歴史を、どれほど深刻にとらえているか、という疑問がある。「犯人は憎いです。わたしたちだって大変に心を痛めています。冥福を祈ります」という意思表示ぐらいでは、ハッキリ言って、ほんの気休めにさえならないだろう、という話なのである。

考えてもごらんなさい。米軍関係者の犯罪は、沖縄の住民の犯罪とは、本質的な意味での違いがあるのだ。

日米地位協定という名の差別協定によって、明らかに、米兵米軍属は守られている。

基本的には、米軍関係者の犯罪の捜査権も裁判権も、日本側にはない。
わたしがいうまでもなく、何十年も様々な指摘がなされてきたことだが、米兵米軍属の頭と心には、少々の罪を犯しても基地のフェンス内に逃げこめば大丈夫、という特権意識が刷り込まれている。
今でこそ、強姦や殺人等の凶悪犯罪に限っては、米軍の厚意によって、起訴前でも容疑者の身柄を日本側が確保できるようになっているが、あくまでも米側の裁量にゆだねられた「配慮」によるものだ。

何が言いたいか。
米軍関係者によって繰り返される犯罪は、アメリカ人だって心優しい人もいる、などという論点のすり替えで済まされる問題では到底ない、ということ。
日米地位協定を含む構造的な差別の問題、沖縄蔑視の現実を直視し、その原因たるシステム自体を解消しない限り、問題の解決はあり得ない、ということ。

複数の場で何度も言ってきたことだが、反基地の姿勢を明確にしているわたしにさえ、個人的にはとても尊敬できる人格の持ち主の現役海兵隊員の友人がいる。彼の妻や子供もとてもチャーミングだ。心優しいアメリカ人だっている、などいう話を今更聞かされたくもない。

結論を述べよう。
28日のネイバーフッドチャーチ沖縄の呼びかけによる行動に参加した人を、語弊を恐れずにあえて言えば、わたしは「哀れ」にさえ感じる。
あれほどの凶悪犯罪の犠牲者に対する哀悼の意の表し方が、プラカードを持って歩道に立ち、不特定多数のクルマのドライバーに頭を下げることだというのは、行為としてあまりにも安直であり焦点がズレているのではなかろうか。熱中症のリスクもある炎天下の行動に感謝したいなどと言うネトウヨ君も散見されるが、アホも休み休み言いなさい、というレベルの幼稚な話だ。

被害者の恐怖と怒りと痛み、遺族や恋人、友人の悲しみと怒りと悔しさ…。まさか、プラカード掲げてお辞儀をする、たったそれだけの行為で、鎮められるなどと信じていないとは思うのだが、それにしても・・・。

厳しい物言いだとは思うが、あなたたちがこの行動に参加した事実は、ネット上での拡散のされ方を眺めてみても、多くの沖縄県民からの海兵隊や米軍全体に対する激しい怒り、その風当たりの強さに危機感と苛立ちを覚えていた米軍関係者及び米軍支持者らによって、うまい具合に利用されたという意味合いのほうが色濃く漂うのである。

もしも本気で、むごたらしい被害に遭った20歳の女性の死を悼むのであれば、真剣に取り組むべきことが、他にないだろうか。

米軍関係者による凶悪犯罪をわが事として許せないと思うなら、これ以上の犠牲者を出したくないと本当に思うのなら、むしろ米軍関係者内部から、せめて日米地位協定抜本改定の気運を高める運動を起こしたって、バチは当たらないだろう。

合掌。



※追記※
この行動について「報道されない事実」などというデマが盛んに流されているようですが、騙されてはいけません。
例えば琉球新報は翌日29日の紙面(社会面)と公式サイトで、写真付きの記事でこう伝えています。
↓↓↓
米軍属女性遺棄 悲しみに共感 教会に通う米軍人や軍属ら
http://ryukyushimpo.jp/news/entry-287997.html

 米軍属女性遺棄事件を受けて北中城村屋宜原の教会「ネイバーフッドチャーチ沖縄」は28日、北谷町桑江の国道58号沿いで信徒らがプラカードを掲げ、県民の悲しみに共感する思いを訴えた。

 教会に通う米軍人や軍属、その関係者らが「沖縄のために祈る」などと書かれたプラカードを掲げ、行き交う車に頭を下げて被害者への哀悼の意を示した。

 行動は、同教会のクリスチャン・シアンコ牧師が、県民と共感する思いを訴えたいと考え、信徒らに呼び掛けて実現した。SNSで知った信徒以外の米軍人・軍属も加わり、最大約100人が参加した。



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Posted by watanatsu at 00:50 │時事問題