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2009年12月11日

鳥越俊太郎さん、頑張ってください!! 普天間移設問題⑫

 普天間基地移設問題に関する閣僚のバラバラ発言には、もう一切惑わされないぞ、という気持ちで連日のニュースに接している。

 一喜一憂するのは、バカらしい。
 バカらしい、と思わせる発言を繰り返しているのは、ご存知の通り、官僚の思惑通りに動いている北澤防衛相と岡田外相である。ブレブレ発言を繰り返す二人だが、一貫して共通しているのは「このままでは、日米同盟が危うい」という点。
 この時点で、総選挙の公約違反は明らかである。
 旧政権同士の「日米合意」(辺野古新基地建設計画)を守らないと大変なことになる、と官僚たちは盛んに「アメリカがいかに怒っているか」を東京のマスコミにリークし続け、マスコミ人や政治家たちの多くが、まんまとそれに乗せられている。
 どこが政治主導の新政権? 政治素人のわたしの目だってごまかせない状況になっている。

 だから、最近のわたしは、苦い思いでテレビのニュース番組を眺めることが多くなった。
 早い話が、大半の司会者・キャスター・コメンテイターは、防衛・外務官僚のお望み通りの発言を繰り返している。いわく「早く結論を出さないとまずいでしょう」。

 タチが悪いのは、たとえば再三「現行計画」支持をプンプン匂わせているテレビ朝日コメンテーター・三反園訓さんという人に代表される「沖縄の人たちの気持ちもわかるんですけどね、、、、。」(ここ数日内の実際の発言だ)といった、いかにも付け足しの、沖縄へのおざなり同情発言。わたしに言わせれば、でもあんたは、ほんとは沖縄県民の気持ちを何もわかってないから、「対米追従・沖縄切り捨て」の「日米合意・現行計画」をいとも簡単に支持するわけなんだよねー、という話でしかない。

 しかもこうした、「沖縄県民には可哀相だけど、日本国民のために、いつまでも犠牲を払ってもらうしかないよ」といわんばかりの論調が、マスコミの主流をしめてしまっているのだ。
 毎日これを聞かされていれば、良識ある視聴者まで、知らず知らず洗脳されてしまうのではないか、そんな心配さえわたしは抱く(その意味で、橋下大阪府知事の「基地負担を全国で共有しよう」という問題提起は、大変貴重な発言といえる)。

 そんなご時勢にあって、このところのテレビ朝日系「スーパーモーニング」における鳥越俊太郎氏の発言は、ジャーナリストとしての見識と、人としての真っ当な心根を示すものである。
 はるか後輩の物書きの端くれが申すのも僭越ではあるが、その姿勢を高く評価させていただきたいと思う。

 じつは、たまたま「辺野古への新基地建設と県内移設に反対する県民大会」に参加した翌日、同番組を見たあと、すなわち11月9日のブログ更新時、鳥越氏の「日米の政権がかわったのだから、ゼロベースから話し合えばいい」という意味の発言をご紹介した。
http://watanatsu.ti-da.net/e2619436.html
 東京発のマスコミの論調が「対米追従・沖縄切り捨て」に染まりつつあるなか、本当にホッとさせてくれる発言だった。

 だからその後、それまであまり見たことのなかったこの番組を観るようになり、鳥越俊太郎氏の発言に注目するようになった。
 
 そして、去る12月8日から10日にかけての同番組で、3日続けて、鳥越氏が貴重な発言をしていることに、感銘を受けた。いずれも、普天間基地移設問題に関して、日本政府は「日米旧政権同士の合意に基づく現行計画案」を受け入れる必要はない、という意味の発言だったのだ。

 12月8日のコメント主旨。
「(この問題に関しての日米政府の協議は)大前提が間違っている。アメリカの基地は、できるだけ日本の領土から出て行ってもらいたい、というのが日本人の気持ちですよ。僕は、『グアム統合軍事開発計画』という文書があるのを知っている。そこでは、2014年までに、(普天間の海兵隊も)グアムに行くことになっているんです。だったら辺野古に(代替基地)を造る必要はない、ということになる」
 例によって、テレビを眺めながらの走り書きメモなので、一言一句正確に記せているわけではないが、これが、普天間の地元・宜野湾市の伊波洋一市長が訴えている内容と、完全に響き合う話であることだけは、間違いない。

 鳥越さん、ありがとう、と思わず画面に向かって呟いていた。

 12月9日のメモはないが、同じ主旨で語っていたという記憶がある。
 
そして、昨日12月10日の同番組での、鳥越氏のコメント主旨は次のとおりである。
「(この日米協議には)三つのポイントがある。アメリカの意向をどう受け止めるか、連立政権の意味をどう考えるか、そして、沖縄の民意である〝負担軽減〟をどうするのか」
「日米合意とは別に、着々と(海兵隊全体を)グアムへ移す計画は進んでますよ、と伊波市長は言っているんです」
「辺野古案は、アメリカにとって既得権益だから、手放さないだけ」

 多くのマスコミの発する「対米追従・沖縄切り捨て」の論調と一線を画す発言を、鳥越氏は、再び堂々としてくれているのだ。

 それを受けて、それまでおそらく問題の本質が理解できていなかったのであろうテレビ朝日の局アナまでもが、少しまともに考え始める雰囲気になってきた。
司会の男性アナ(お名前までメモしていなくて、すみません)が、「防衛大臣は、そのグアム移転の可能性を(できる限り探るのではなく)否定するために、(グアム視察に)行ったように見えますね」と北澤防衛相の姿勢に疑問を呈したし、女性アナ(同じくすみません)は、「わたしたちは、(この問題を)早く決着させなくちゃいけない、という気に、ついなりがちですが、、、」と反省しつつ、ゲストの女優・東ちづるさんにコメントを求めるのだった。

 そうして、さらにわたしが嬉しく感じたのは、東ちづるさんが発したコメントであった。
「やっとチャンスがきた、という気がしています。ノーベル平和賞のオバマ大統領と友愛の鳩山首相が、対等に話し合うチャンスだし、日米合意の前に沖縄の人の生活があるんだ、ということを、初めて言えるチャンスじゃないかと思うんです」

 東さんが、海外へ出かけて福祉ボランティア的活動をしている人だとは知っていたけれど、沖縄に対してこういう眼差しをもっている人なんだということも、このとき初めて理解できたのである。もうそれだけで、「スーパーモーニング」よ、ありがとう、という気持ちになった。

 それを受けて、普天間移設問題のそのコーナーを鳥越俊太郎氏はこう締めくくった。
「政権がかわって、ようやく(日米が)対等に話し合える機会が訪れている。だから、こういう問題が起きているんです!!」

 いつになく力をこめて、強い視線をカメラに向けて、そう言っていた。

 わたしなりに、補足説明すればこうなる。
 ようやく対等に話し合いが始まったところなのだから、アメリカ側が多少不機嫌になるぐらいは、想定内のこと。この程度で日米の信頼関係が崩れ去るわけがない。マスコミが、「アメリカを怒らせたら大変だから、早く結論を出さなきゃいけない」という論調に走ること自体がおかしい。

 要するに現状を冷静に見れば、アメリカの既得権益の代弁者である御用学者やジャーナリストが、防衛・外務官僚の意向に乗っかって、国民の危機感を煽ろうとしているているだけなのだ。
 そういう輩の常套句は、「沖縄の人たちのためにも、早く普天間の危険を除去しなきゃいけないはずだ」。しかし、それこそ論点のすり替えだ。危険除去のために、辺野古に基地を造る必要など、さらさらないのである。

 危険な基地は、アメリカの責任で撤去するのがスジである。
 何度でもいうが、普天間の代替基地を沖縄に造るのが無理だということは、はっきりしているのである。

 日米同盟が大切だというならば、日本政府は、国外移設のために資金面で大きな協力をしなければいけないかもしれない。
 ともかく本来は、別個の話として議論すべきことなのだ。

 、、、という論議の入り口に立つ姿勢を、鳥越俊太郎さんのみならず、「スーパーモーニング」のディレクター、プロデューサーはじめ、番組関係者は示してくれている(その証拠に、現行計画肯定派というしかない三反園コメンテーターに、チャチャを入れさせなくなっている)。

 ありがとう、鳥越さん、頑張ってください!!

 わたしたちは、「このままだと日米関係は壊れる」と煽り立てる勢力の妄言には、くれぐれも踊らされぬよう注意していきたいと思います。
 



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Posted by watanatsu at 12:14 │時事問題