てぃーだブログ › 渡瀬夏彦の「沖縄 チムワサワサ~ 日記」 › スポーツ › 琉球キングスのビックリ大逆転を目撃して・2

2009年12月19日

琉球キングスのビックリ大逆転を目撃して・2

 きのうの続き、です。

                           *

 澤岻安史は、3Qの最初からコートに立っていた。
 そして序盤、澤岻は得意の3ポイントではなく、カウンターの速攻でゴールへ走り、見事なレイアップシュートを決めた。

 それを見た瞬間、背中にゾクッと走るものがあった。ひょっとして、ひょっとするかも、の武者震いである。
 キングスのメンバーは、コート上でもベンチでも、誰もがあきらめていなかった。じりじりと追い上げていく。
 3Q残り2分少々菅原洋介が3ポイントを決めたとき、44対53。一時25点も開いた得点差を、ついに一ケタまで縮めていた。
 やがて3Qが終わり、スコアは48対53。前半と比べれば、キングスの選手たちのディフェンスの姿勢が、しだいに厳しく前向きになっており、それがカウンター速攻につながっていた。ここまでくれば、キングスの逆転濃厚。そう確信したのは、わたしだけではなかっただろう。

 周知のとおり、試合が終わってみれば、70対65で、見事に大逆転勝利。ロースコア・ゲームのなかで、25点差をひっくり返したというのは、非常に珍しいケースであろう。

 試合終了の瞬間、観客席を見上げたが、アウェーとは思えないような、熱心な力強い声援を送っていたキングス・ブースターのはしゃぎっぷりが頂点に達していた。
 そのたくさんのブースターに対して、選手・コーチ全員が、ずらりと整列して、丁寧に謝意を表していた。長い時間、手を振っていた。
 わたしは、とても気持ちのよい光景に立ち会えていた。そのことに感謝したいと思った。

 記者会見のためプレスルームへ移動する途中、木村達郎GMとばったり遭遇した。わたしはなんと感想を言ってよいか迷いつつ、思わず木村さんの二の腕を、ポンと叩いていた。
 すると、木村さん、にっこり頷いて、「こういうチームなんです!!」。
 その言葉に、異論はなかった。

 ジュン安永さんには、こちらから握手を求めた。やはりうまい言葉は、当方から出てこない。
 ジュンさん、自分に言い聞かせるようにいわく。
 「負けません。負けないです!! このチームは、ディフェンスさえしっかりしたら、大丈夫です」
 ほんとに、そのとおりなのだった。

 これが、選手・コーチ・スタッフみんなが、気持ちをひとつにして戦っている琉球ゴールデンキングスという球団なのだ。

 寒い寒い東京の夜、なんだかポワーッと心を温めてもらった。
 思い出に残る一夜となった。

 プレスルームに入ると、2日間いろいろ世話してくれた東京アパッチのスタッフが「ありえない」と、顔を紅潮させつつ呟いていた。そう呟きたくなる気持ち、よくわかった。

 記者会見で桶谷大ヘッドコーチは、いつになく物静かな空気を漂わせていた。
「出だしの采配をもう少しうまくやらんと、こういうゲームになる。20何点開いていても、こつこつディフェンスがんばった選手たちに、勝たせてもらいました。逆転するぞ、というより、ひとつずつ返していこうという気持ちでしたが、きょうは澤岻安史が果たしてくれた役割も大きかったですね。これから、彼もチームから信頼される存在になると思います。ハーフタイムには、ディフェンスがんばっていこう、としか言ってません。選手がこちらの期待に応えてくれるチームです。なかなかこういう選手たちにはめぐり合えないことです。自分は幸せだな、と思います」

 聞いているうちに、なんだかこちらが、ホロッときそうで困ってしまった。




同じカテゴリー(スポーツ)の記事

Posted by watanatsu at 16:03 │スポーツ