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2009年12月29日

いちばん大切なことは何か(その3)。普天間移設問題16

 続きの続き、です(カンヅメ部屋から徒歩圏内のネットカフェに来ています)。


 政権が代わったのだから、白紙に戻して話し合うことは、少しもおかしなことではない、という鳥越俊太郎氏が、根拠のひとつとして示した「グアム統合軍事開発計画」については、宜野湾市役所のホームページ(基地政策部基地渉外課のページ)でも関連資料が見られますので、ぜひチェックしてみてください。

 それを読むと、アメリカ側が、普天間基地の危険除去と沖縄の負担軽減のために辺野古に代替基地(新基地)を造ることを「唯一実現可能な案」などと言っているのが、いかにマヤカシか、わかります。

 実際のところは、米軍は何年も前から、普天間の航空部隊を含めて、海兵隊を一体的にグアム移転させる計画を練り続けているのです。

 なのに、東京やワシントンの大手マスコミ記者たちは、日米の官僚の情報操作に踊らされるばかり。現行計画を呑まないと、アメリカがカンカンに怒って日米関係がおかしくなる、ですと。

 皆さん、アメリカ国務省の日本部長が誰だか、ご存知でしょうか。
 ついこの間まで、ブッシュ政権下で沖縄総領事を務めていた、悪名高きケビン・メア氏です。

 彼の沖縄在任中の評判は、まるでよろしくありませんでした。わたしの脳裡にも、米兵が事件・事故を犯すたびにメア氏が弁明するローカルニュースの映像、その印象が、焼きついています。
 ひと言でいえば、ものの見事に「日米地位協定」(ご案内の通り、人権蹂躙の不平等協定)を盾にして、倣岸不遜な態度をとり続ける男。「植民地支配者意識」をもって生きているといっても、過言ではない人物。

 この人が出世して本国に呼び戻され、今はワシントンの重要ポストにいる。彼が、クリントン長官やその周辺に、シャカリキになって進言している姿が想像できます。

 メア氏こそは、辺野古新基地建設計画の一方の推進役・調整役であったことは明らかです。しかも強硬派。沖縄県民、日本国民の人権を軽視しかねない人物です。
 彼が自分の手がけた仕事に固執する様が、目に浮かぶようです。

 そのワシントンから、先日とんでもないお粗末なニュースが発信されましたね。
 クリントン国務長官が、藤崎駐米大使に対して「異例の呼び出し」を行ったという、あのニュース。これなんか、政治・外交素人でも、典型的な日米外務官僚による情報操作であったと想像がつきます。または、三文芝居と呼ぶべきかも。

 これについては、参考までに、琉球新報12月27日社説をご覧ください。
 →http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-154847-storytopic-11.html

 普天間基地の移設問題は、今、予断を許さない状況です。
 外務・防衛官僚たちは、間違いなく巻き返しを狙っていることでしょう。
 その策略に、問題点に関する理解不足が明らかなメディア関係者たち、あるいは意図的に官僚に協力的姿勢を示すメディア関係者が、乗っかってしまっている現状があるからです。

 なんとかのひとつ覚えで、「鳩山政権か優柔不断なものだから、日米関係がおかしくなった」の大合唱。

 しかし、わたしたちは冷静に物事を見つめたいと思います。
 たしかに「トラスト・ミー」という言葉をオバマ大統領に対して、不用意に発して、誤解を招いたとすれば、それは鳩山首相の側の反省点です。閣僚たちのバラバラ発言もひどいものでした。
 ただ、そのことの揚げ足取りに励んだ自民党の政治家やマスコミの解説委員、論説委員、コメンテーター、学者たちは、本質的な部分を、覆い隠して国民の目をごまかそうとしています。

 アメリカが「唯一実現可能な案」という言い分に、何の根拠もないこと。
 そもそも、遡ってみれば、本来、無条件に閉鎖・撤去すべき危険な普天間基地を、「県内たらい回し方式」で移設しようとしたこと自体に大きなボタンの掛け違いがあったという事実。
 これらのお粗末な計画をつくったのはもちろん、日米の旧政権同士。その責任と罪の重さが、まず問われてしかるべきです。
 話は、それからですよね。

 
 年の瀬から年明けにかけて、この問題の解決にとって重要な時期です。
 大切なことは何か、事の本質はどこにあるか、くれぐれも見失わないようにしたいと思います。

(この項、もっと、つづく)



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Posted by watanatsu at 12:42 │時事問題