2011年02月02日
興南「春夏連覇」3年生インタビュー、トリは我如古盛次!!
本日は、トゥシノユルー(年の夜)である。旧暦12月30日。一年が終わる日。
したがって明日は、旧正月。しかも今年は、たまたま節分と重なって、いきなり「鬼はソトーっ」で年が明け、ちょいとややこしい感じ。
さて、未明にひとりで散歩したときは、空に星が輝いていたのに、朝からどんよりと曇って、午前中に犬たちとウォーキングしたときには雨が降っていた。きのうあたりから気温は少し上がってくれて、しのぎやすい。ありがたい。近頃なんだか、正真正銘の「寒がり」になってきた気がする。その部分だけは生粋のウチナーンチュ並みになってきたのかもしれない。
ところで、昨日2月1日、興南高校野球部・春夏連覇の3年生メンバーへのインタビューが、無事終了した。なかなかタイミングが合わなかった我如古盛次君(前キャプテン)に、ようやく話を聞くことができた。
3年生は、1月31日で登校終了。あとは3月1日の卒業式を残すのみ。
だが2月初旬から、ほとんどの大学野球部の合宿が始まるので、みんなのんびりしている暇はない。
我如古君も、2月5日から、立教大学の新入学予定者として野球部の合宿に参加する。
その前に、ぎりぎり間に合った取材なのである。
名護市に実家がある彼は、秋に野球部寮を出てから那覇市内の祖母宅で暮らしているという。当方、ご近所まで迎えに行って、それから某ファーストフード店へ移動してのインタビュー。
周りの客に騒がれる可能性があったが(沖縄においては、そういう心配もしてあげなくてはいけないヒーローの一人が彼なのだ)、本人が気にしないというので、こちらも普通に堂々とノートを広げて話を聞いた。考えてみれば、平日の午前中であって、小中学生の野球少年たちに取り囲まれる心配はなかったわけである。
30分の予定が、なんと2時間近いインタビューになった。終わって店を出るとき、「我如古君だね。感動をありがとう。これからも頑張ってね」と、近くの座席の老紳士から静かに温かい声をかけられた。我如古君は、丁寧にお礼の言葉を返していた。
「ああいうおじいさんは有り難いですけどね。野球少年は、もう大変っすよ。ガネコーッ、シマブクローッ、って呼び捨てにしながら、うわーっと寄ってきますからね(苦笑)。慣れましたけど」
いずれにしても、インタビューが長時間になったのは、それだけ話題が尽きず、こちらも楽しかったわけであるし、彼も飽きる素振りをみせずに「時間はまだまだ大丈夫ですよ」といいながら、しっかり丁寧に質問に答えつづけてくれたからなのだった。
これまでにも、野球場などで短い会話のやりとりはさせてもらってきたが、こうして一対一で長時間話を聞くのは始めてのことだ。
そして、改めて得た印象は「なんて頭のいい男なんだろう」。これは必ずしも学業成績のことを言っているのではなくて、本当に「賢い人間」だといいたいのである。人の心を瞬時に読み取る感受性の鋭さもある。向上心の強さは、どんな話題のときもビンビン伝わってくる。
それから、負けず嫌いの完璧主義的努力家なのだと、痛感させられた。彼が黙々と、自ら考えた独自のバッティングメニューをこなしている光景などが、瞬時に蘇ってきて懐かしくなった。そして「春夏連覇」は、まさに必然的な出来事であったのだ、納得した。
このインタビューの成果は、「ある作品」を仕上げるときに、きちんと生かすつもりである。
「皆さんどうぞお楽しみに、ぜひ期待してください」とだけ、思わせぶりに述べておこう。
いや、当ブログ読者の皆さんのためにだけ、我如古君インタビューの中身を少しだけ披露してしまおう。
わたしが将来の展望に水を向けたときのことである。
将来の興南高校監督の最有力候補という声をあちこちで聞いていたので、そのことにも触れつつ質問した。すると、彼は、きっぱりとこう言い切った。
「目標はプロ野球選手なので、六大学リーグでは、その将来の目標に向って頑張りたいです。もしプロが駄目だったら、そのときに次のことを考えます。今は指導者の道とかは考えていないです。でも自分は、目標は絶対達成しないと気がすまない人間です(笑)」
お世辞抜きで、賢いチームメイトたちのなかでも最も早く自立していた「大人」である。すべてが自己責任の勝負となるプロの世界は、むしろ彼に向いているという気がして、なんだかワクワクしてきた。
その後、思わずこんな会話になった。
「いいね。小さな大打者になってほしいね。我如古君は、サッカーも見る?」
「はい。日本代表の試合ぐらいは見てます」
「長友(佑都)ってわかるでしょ。決勝でも活躍してたけど」
「いいアシストしましたね」
「そうそう。ふと思ったんだけど、我如古君は、長友に似てる気がする」
「・・・・」
「日ごろは自分に厳しく、黙々とトレーニングに励んで、本番の試合では、自信をもって伸びのびプレーして、結果を出す(笑)」
彼は、そのとき、少し微笑みを浮かべつつも、真面目な顔で頷いていた。
「長友は、アジアカップで大活躍して、そしたらすかさずイタリアのビッグクラブ(インテル・ミラノ)からオファーが来たみたいだしね。プロの世界は、結果を出せば必ず報われるようにできているから、あなたには向いていると思うね。頑張っている人のことは絶対誰かがちゃんと見てくれていて、必ず高い評価を与えてくれるからね」
「はい。頑張ります」
この男の将来が、ますます楽しみになってきた。
立教大学やあるいは学生日本代表チームでもキャプテンを務めて不思議はないし、リーグの首位打者のタイトルを取っても当然だという気さえする。
その上で高い評価を得てドラフト1位でプロ入りする、というシナリオをわたしは思い浮かべ、じつにリアリティがあるなぁ、と感じたものである。
我喜屋優監督の凄さは、彼の資質を見抜いて迷わずキャプテンに指名したこと。
我如古盛次とは、自ら率先して誰よりも一所懸命練習する選手だった。その姿をチームメイトに見せ、言葉以前に、その背中でみんなを引っ張っていけるタイプの選手なのだった。
監督はもちろん、他の選手たちに聞いても、彼への信頼感は絶大なものがあった。
とりあえずは、六大学リーグでの活躍を心から期待しよう。
「これからも、活躍に期待してるよ」
「ありがとうごさいます!!」
歯切れのいい返事を聞きつつ、再会を約して別れた。
卒業式直前には「3年生送別紅白戦」があると聞いた。
意外とはやく、春夏連覇メンバーのみんなに再び会えそうだ。
このところ、若者たちから、刺激を受けている。
世の中捨てたもんじゃない、と思わせてくれるやつらがいる。
幸せなことである。
したがって明日は、旧正月。しかも今年は、たまたま節分と重なって、いきなり「鬼はソトーっ」で年が明け、ちょいとややこしい感じ。
さて、未明にひとりで散歩したときは、空に星が輝いていたのに、朝からどんよりと曇って、午前中に犬たちとウォーキングしたときには雨が降っていた。きのうあたりから気温は少し上がってくれて、しのぎやすい。ありがたい。近頃なんだか、正真正銘の「寒がり」になってきた気がする。その部分だけは生粋のウチナーンチュ並みになってきたのかもしれない。
ところで、昨日2月1日、興南高校野球部・春夏連覇の3年生メンバーへのインタビューが、無事終了した。なかなかタイミングが合わなかった我如古盛次君(前キャプテン)に、ようやく話を聞くことができた。
3年生は、1月31日で登校終了。あとは3月1日の卒業式を残すのみ。
だが2月初旬から、ほとんどの大学野球部の合宿が始まるので、みんなのんびりしている暇はない。
我如古君も、2月5日から、立教大学の新入学予定者として野球部の合宿に参加する。
その前に、ぎりぎり間に合った取材なのである。
名護市に実家がある彼は、秋に野球部寮を出てから那覇市内の祖母宅で暮らしているという。当方、ご近所まで迎えに行って、それから某ファーストフード店へ移動してのインタビュー。
周りの客に騒がれる可能性があったが(沖縄においては、そういう心配もしてあげなくてはいけないヒーローの一人が彼なのだ)、本人が気にしないというので、こちらも普通に堂々とノートを広げて話を聞いた。考えてみれば、平日の午前中であって、小中学生の野球少年たちに取り囲まれる心配はなかったわけである。
30分の予定が、なんと2時間近いインタビューになった。終わって店を出るとき、「我如古君だね。感動をありがとう。これからも頑張ってね」と、近くの座席の老紳士から静かに温かい声をかけられた。我如古君は、丁寧にお礼の言葉を返していた。
「ああいうおじいさんは有り難いですけどね。野球少年は、もう大変っすよ。ガネコーッ、シマブクローッ、って呼び捨てにしながら、うわーっと寄ってきますからね(苦笑)。慣れましたけど」
いずれにしても、インタビューが長時間になったのは、それだけ話題が尽きず、こちらも楽しかったわけであるし、彼も飽きる素振りをみせずに「時間はまだまだ大丈夫ですよ」といいながら、しっかり丁寧に質問に答えつづけてくれたからなのだった。
これまでにも、野球場などで短い会話のやりとりはさせてもらってきたが、こうして一対一で長時間話を聞くのは始めてのことだ。
そして、改めて得た印象は「なんて頭のいい男なんだろう」。これは必ずしも学業成績のことを言っているのではなくて、本当に「賢い人間」だといいたいのである。人の心を瞬時に読み取る感受性の鋭さもある。向上心の強さは、どんな話題のときもビンビン伝わってくる。
それから、負けず嫌いの完璧主義的努力家なのだと、痛感させられた。彼が黙々と、自ら考えた独自のバッティングメニューをこなしている光景などが、瞬時に蘇ってきて懐かしくなった。そして「春夏連覇」は、まさに必然的な出来事であったのだ、納得した。
このインタビューの成果は、「ある作品」を仕上げるときに、きちんと生かすつもりである。
「皆さんどうぞお楽しみに、ぜひ期待してください」とだけ、思わせぶりに述べておこう。
いや、当ブログ読者の皆さんのためにだけ、我如古君インタビューの中身を少しだけ披露してしまおう。
わたしが将来の展望に水を向けたときのことである。
将来の興南高校監督の最有力候補という声をあちこちで聞いていたので、そのことにも触れつつ質問した。すると、彼は、きっぱりとこう言い切った。
「目標はプロ野球選手なので、六大学リーグでは、その将来の目標に向って頑張りたいです。もしプロが駄目だったら、そのときに次のことを考えます。今は指導者の道とかは考えていないです。でも自分は、目標は絶対達成しないと気がすまない人間です(笑)」
お世辞抜きで、賢いチームメイトたちのなかでも最も早く自立していた「大人」である。すべてが自己責任の勝負となるプロの世界は、むしろ彼に向いているという気がして、なんだかワクワクしてきた。
その後、思わずこんな会話になった。
「いいね。小さな大打者になってほしいね。我如古君は、サッカーも見る?」
「はい。日本代表の試合ぐらいは見てます」
「長友(佑都)ってわかるでしょ。決勝でも活躍してたけど」
「いいアシストしましたね」
「そうそう。ふと思ったんだけど、我如古君は、長友に似てる気がする」
「・・・・」
「日ごろは自分に厳しく、黙々とトレーニングに励んで、本番の試合では、自信をもって伸びのびプレーして、結果を出す(笑)」
彼は、そのとき、少し微笑みを浮かべつつも、真面目な顔で頷いていた。
「長友は、アジアカップで大活躍して、そしたらすかさずイタリアのビッグクラブ(インテル・ミラノ)からオファーが来たみたいだしね。プロの世界は、結果を出せば必ず報われるようにできているから、あなたには向いていると思うね。頑張っている人のことは絶対誰かがちゃんと見てくれていて、必ず高い評価を与えてくれるからね」
「はい。頑張ります」
この男の将来が、ますます楽しみになってきた。
立教大学やあるいは学生日本代表チームでもキャプテンを務めて不思議はないし、リーグの首位打者のタイトルを取っても当然だという気さえする。
その上で高い評価を得てドラフト1位でプロ入りする、というシナリオをわたしは思い浮かべ、じつにリアリティがあるなぁ、と感じたものである。
我喜屋優監督の凄さは、彼の資質を見抜いて迷わずキャプテンに指名したこと。
我如古盛次とは、自ら率先して誰よりも一所懸命練習する選手だった。その姿をチームメイトに見せ、言葉以前に、その背中でみんなを引っ張っていけるタイプの選手なのだった。
監督はもちろん、他の選手たちに聞いても、彼への信頼感は絶大なものがあった。
とりあえずは、六大学リーグでの活躍を心から期待しよう。
「これからも、活躍に期待してるよ」
「ありがとうごさいます!!」
歯切れのいい返事を聞きつつ、再会を約して別れた。
卒業式直前には「3年生送別紅白戦」があると聞いた。
意外とはやく、春夏連覇メンバーのみんなに再び会えそうだ。
このところ、若者たちから、刺激を受けている。
世の中捨てたもんじゃない、と思わせてくれるやつらがいる。
幸せなことである。
Posted by watanatsu at 13:40
│高校野球