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2011年04月11日

「人種差別主義者」ケビン・メア元国務省日本部長の「大罪」。

沖縄に対する暴言、差別発言の「常習犯」だったケビン・メア元米国務省日本部長が退職したというニュースも、この東日本大震災および福島原発大事故の報道のかげに、隠れてしまっている。

在沖海兵隊を含む米軍が、東北の被災地の一部地域で、懸命に救援・復興支援の活動をしてくれたことには、多くの人(何よりも支援を受けた被災者の皆さん)が感謝している。わたしもそのことに異論はない。現場の一人ひとりの隊員は、ほんとうによくやってくれたのだと思う。

しかし、その陰で、横暴な論理のすり替えが起こっている。

沖縄に普天間基地を、あるいはさらなる代替施設を押し付けようとあの手この手で画策してきたアメリカ側の事務方責任者が、とんでもない「人種差別主義者」だったことが明らかになっているのに、東京の大手メディアは、この事実をおざなりに報道したままだ。

あげくに「米軍を、米軍基地をありがたく思え」という恫喝すら、沖縄県民に対して向けつつある。


この問題に関連して、例によって「地元紙で識るオキナワ」ブログが、いくつかの記事を紹介してくれている。
昨日4月10日の琉球新報の記事も追加されている。
↓↓↓
http://michisan.ti-da.net/e3515550.html

上記アドレスを訪問された上で、いちばん最後の記事までしっかり読んでいただきたい。

ケビン・メア氏は、数々の暴言・差別発言について、少しも反省することなく国務省を退職した。

人間はときとして過ちを犯す生き物だ。人生の失敗、人様への迷惑、という点でいえば、わたしも多々身に覚えがある。失敗をしでかしては、反省をする人生だ。それでもまた次の失敗が起きたりする。

しかし、どうだろう、ケビン・メア氏は反省さえしていないのだ。
国務省日本部長という職を解かれた処遇に不満を覚えて辞職したと報じる新聞もあったほどだ。
↓↓↓
【ワシントン=小川聡】沖縄県民のことを「ごまかしとゆすりの名人」などと語ったとして米国務省日本部長を更迭されたケビン・メア氏が、6日付で国務省を依願退職することがわかった。
 関係筋によると、メア氏は国務省に、報道された発言内容は一方的だと釈明していたが、更迭されたことを不満とし、自ら辞職を申し出たという。メア氏は更迭後、3月末まで、東日本大震災を受けて同省に設置された特別作業班で日米の調整にあたっていた。
(2011年4月7日 読売新聞webサイトより)

※念のため書き添えておくが、読売の小川聡氏は、普天間問題に関して、日米外務官僚と結託した「世論誘導」のための記事(つまり、普天間基地の沖縄県内移設を、さも当然だと言わんばかりの世論誘導記事)をワシントンから送り続けた記者の一人である。嫌でも名前を覚えてしまった(苦笑)。今回も、問題の本質に少しも触れない、「メア氏の言い分報道」で終わっている(おそらく無意識のうちに、そうなっているのだろう)。

反省のない「罪人」が、過ちを繰り返すことは目に見えている。わたしはそこに恐ろしさを感じている。

メア氏は、新聞で公開された自らの講義のメモ(講義を受けた学生が作成した)に対する正確性に疑問を呈して、ごまかしたきりである。

しかし、その学生たちの指導に当たっており、講義を企画し同席したアメリカン大学準教授のデービッド・バイン氏は、学生のメモ内容は間違っていないと、琉球新報に寄せた論考で明らかにしたのだ。

バイン准教授の論考要旨が、上記アドレスで読めるわけである。

「人種差別主義者」ケビン・メア元国務省日本部長の「大罪」。


琉球新報4月10日付の実際の紙面(総合面3面)では、その記事と並んで、「メア氏国務省退職」に関する佐藤優氏(作家・元外務省主任分析官)の特別評論も掲載されている(写真)。これも上記アドレスで読める。→バイン准教授の論考要旨の、ひとつ上の位置にある記事。

全文は上記「地元紙で識るオキナワ」ブログで読んでいただきたいが、佐藤優氏は特別評論の最後をこう締めくくっている。その部分だけでもここに引用したい。

                  *


「東日本大震災の支援で日本全体のために海兵隊が必要なことが明らかになったから、沖縄はそれを受け入れよ」と主張する官僚や有識者が東京では増えてくるだろう。そんなに海兵隊が有益ならば本土で受け入れればよい。震災支援を口実に沖縄に対する構造的差別が助長されつつあることを懸念する。

                  *

わたしも同感である。

悪しき世論誘導がこれ以上ひどくならぬよう、読売、産経といったわかりやすい「犯罪的記事」を書く新聞社に所属する人びとだけでなく、多くの心あるメディア関係者には猛省を促したい。

そもそものメア氏の差別発言は、3月7日、沖縄の2紙が大きく報道し、3月8日付紙面には詳しく載っている。
昨年末に国務省内で行われたメア氏の「講義メモ」全文(日本語訳)は、たとえば琉球新報の下記アドレスで読める。
↓↓↓
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-174366-storytopic-231.html

彼の暴言のいちいちにここで反論する暇はないが、事実誤認のオンパレードだし、差別意識がむき出しになった醜悪な講義であることは、明白だ。

本来ならば、時間をかけて徹底的に追及されなければならないのが、メア氏の暴言と米国務省の対沖・対日姿勢である。そして、これに及び腰の反応しかできなかった中央の官僚・政治家・報道機関の姿勢である。


だがしかし。。。。。


周知のとおり、この3日後に、未曾有の大地震と津波が東北地方を襲ったのである。





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Posted by watanatsu at 17:54 │時事問題