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2012年11月22日

国境の島・与那国島の現状に目を向けてください!!

当初考えていた予定を変更して、与那国島の自衛隊配備問題についてアップします。
(※当ブログ記事の最後に、「与那国島の明るい未来を願うイソバの会」 http://isobanokai.ti-da.net/ による「公開質問状」を全文引用紹介)

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哀しい現実が、自然豊かな平和な島に住む人びとの心を乱しつづけている。

いまだに、与那国町議会の与党議員(与那国防衛協会幹部を含む)の皆さんは、この重要な問題について、冷静かつ活発な議論をするつもりがないのだろうか。

わたしは自称「与那国ファン」の一人だが、あまりにも情けない状態が続いていると指摘せざるを得ない。

現状での自衛隊配備は、百害あって一利なし、と断言できるのだが、与党議員の中にもそのことに気づいている人がいて、それで議論を避けているのかとさえ、勘繰りたくなる。

当たり前のことを書くようだが、軍国主義者が平和をつくるなんてことは不可能な話である。
石原慎太郎という名の暴走知事(当時)が、尖閣諸島を都有地にしたいと狂った叫びをあげて中国を刺激し始めてから、沖縄県民を含め、どれだけ多くの人が迷惑していることか。
しかも、その狂った意思表明したのが、日本を巧妙に操りたいと思っている米国右派シンクタンク、ヘリテージ財団の主催シンポジウムなのだから、笑っちゃいかんが失笑は禁じえない。この無責任老人が、こんどは国政へ、しかもあの橋下市長と手を組んで頑張るぞというんだから、世も末である。いや、厭世気分に苛まれている場合ではない。こんな輩をのさばらせてはいけないと強く思う。

この問題で瑞慶覧長敏衆議院議員(当時は民主党、後に離党)と意見交換させていただいたとき、瑞慶覧氏はこう嘆きつつ語っていたものである。
「普天間問題に関心を持つ人は民主党内にもかなりいますが、与那国の自衛隊配備となると、国の防衛は大事だよ、のひと言で終わらせてしまう人が多いのが現実です。わたしはもちろん、与那国の民意と同じで、配備には反対です」

国の防衛、国防を叫んでいる者が、平気で他国民を虐殺することは、このところのイスラエル軍の蛮行を見れば明らかである。大日本帝国が起こした戦争、ベトナム戦争における米国による大虐殺・・・、いちいちあげればキリのない歴史上の戦争は、それぞれの国のそれぞれの「正義」の名のもとに、「国を守る」という大義名分のもとに、繰り広げられた蛮行でしかない。

愛国心などという言葉にも惑わされたくない。どこでどう頭の回路を故障させれば、愛国心=軍備増強、となるのか。
本当に国を愛する者ならば、戦争の準備をする前に、徹底的に外交努力によって、あるいは国民間の交流を深めて、平和を構築しようとするだろう。

少し話を広げてしまったが、与那国島の周辺に「中国の脅威」があるなどと騒ぎ立てるのは、頭の回路が故障してしまった者たちが、ある意味ではそのように洗脳されて思考停止の状態の者たちが、無理矢理つくりあげようとしているフィクションにすぎない。

断言するが、与那国島に自衛隊配備なんかしなくても平和は保たれる。
いや、配備しない方が、平和の構築に結びつく。
周辺海域の警戒は、海上保安庁の機能強化で対応すべきである。

与那国島の心ある住民たちが望んでいるのは、自衛隊誘致(外間守吉町長の主張は、過疎を食い止め、島の活性化のために必要だということ)などに頼らない、自然豊かな平和な環境を生かしながらの、本物の自立を目指した島おこしである。

目先の利権(それも微々たるものだ)に目がくらんだ人たちと真性右翼軍国主義者とが手をにぎって与那国町のかじ取りをするとしたら、これは大変なことである。国(防衛省)と防衛族議員は、すでに巧妙に彼らを手なずけているフシがある。

与那国の住民を孤立させてはいけないと強く思う。
今年、『世界』(岩波書店)の2月号と4月号で与那国の自衛隊配備問題をリポートしてから、じつは与那国へ通えていない。
「極貧暇なし」の状況が続いているからだが、内心忸怩たるものがある。しかしわたしは「自衛隊配備などで心を痛めつけられることなく心豊かに普通の生活を送りたい」、そう思っている与那国の人たちを、心の底から応援したい。

最後になったが、自衛隊誘致に反対する住民のグループ「与那国島の明るい未来を願うイソバの会」による、誘致推進派の町議会与党議員に対する公開質問状を、以下に全文引用したい。イソバの会のブログのURL(アドレス)を張り付けただけでは、読むことができない読者もおられると知っているので、長くはなるが、そうさせていただく。URLをクリックできる方は、ぜひ直接、イソバの会のブログをご訪問ください。→http://isobanokai.ti-da.net/e3605468.html

                       *


2012年11月21日
公開質問状を送付

  久しぶりの更新になりました。
 
  イソバの会のメンバーそれぞれ忙しくしていまして、なかなか記事が書けませんでした。

  11月20日自衛隊基地誘致に賛成しておられる町議会議員4名に、公開質問状を送りました。

  「住民投票は,議会制民主主義の崩壊につながる。」と条例制定案を否決された議員さん方に、

  町民の代表者として、しっかり自分の言葉で(防衛省の言葉でなく)基地誘致のメリット、デメリット

  を説明していただきたいものです。

  はたして全議員さんの回答がもらえますでしょうか!

  期日は27日としております。回答も掲載いたしますので、みなさんも楽しみにしていてください。




                                       2012年11月20日

 与那国町議会議員
   前 西 原 武 三 様
   崎 原 孫 吉   様
   糸 数 健 一   様
   嵩 西 茂 則   様

                        与那国島の明るい未来を願うイソバの会
                                  共同代表 稲 川 宏 二
                                         狩 野 史 江
                                         山 口 京 子


      自衛隊基地配備についての公開質問状

 9月24日の与那国町臨時議会において、議案「自衛隊基地建設の民意を問う住民投票条例案」が審議され、採決の結果、反対議員3、賛成議員2で否決されました。本議会では、採決に先立ち二人の議員による賛成討論と三人の議員による反対討論がおこなわれました。
しかし、賛成・反対討論に引き続き質疑応答がおこなわれるものとおもっていましたら、質疑応答なしですぐに採決されました。私たちは、質疑応答で問題点が明らかになると思っていましたので、非常に残念でなりません。
また、外間守吉町長が住民投票を実施の方向で考えてほしいと意見をつけて提案されたのは、544人の署名の重さを物語っていました。ところが、議会では「住民投票は議会制民主主義の破壊」などというあらぬ言いがかりをつけて否決されました。与那国町議会は、賛成・反対討論だけで、十分な審議を尽くさず議決されたことこそが、議会制民主主義を蹂躙する暴挙に他なりません。
つきましては、自衛隊基地配備を進めようとされている議員の皆さんに質問させていただきます。
この質問については、11月27日までに文書でご回答いただきますようお願いいたします。ご回答のない場合は、私たちの質問に答えをもたれていないと考えさせていただきます。
なお、この質問及び回答は公開させていただきます。
町民から選挙で選ばれた議員として、真摯な回答をいただけることを信じています。


質問1 住民投票条例案が否決されたことにより、自衛隊基地配備の賛否で町民を二分する激しい対立が解消されず、地域の分断と混乱が生まれています。今後のまちづくりへ町民のまとまりがどうなるか心配と不安が広がっています。こうした対立と混乱は町民同士にとどまらず郷友会、観光客など与那国島を愛する人々の間にも生じています。この状況をどう受け止めますか。また、対処策を持っておられるでしょうか。見解をお示しください。
さらに、復帰後40年間、与那国町に配備計画されている沿岸監視部隊を含む自衛隊基地がないことで与那国町の発展にとって不都合があったでしょうか。もしあるとするならば、具体的に示してください。


質問2 誘致派の議員の反対討論の中で「与那国に配備される沿岸監視部隊というものは、人の体にたとえると目や耳の部分に当たるものである。ドンパチするわけではないので心配は要らない」という発言がありました。万が一紛争が起こると目と耳の部分は最初に攻撃目標になるのではないでしょうか。そんな危険な部隊を誘致しようとする見解をお聞かせください。


質問3 基地を配備することによる与那国町への経済効果があると主張されていますが、どのような経済効果があるのでしょうか。経済効果の内容と、金額を具体的に示してください。
2011年10月25日の衆議院安全保障委員会で、「沿岸監視部隊に対する調整交付金はない。過去には北海道羅臼町で道路改修工事1件(3/4補助、1/4町負担)があっただけ。」と防衛省が答弁しています。これでは与那国町は基地に関連する公共工事などは期待できません。かりにいくらかの工事が発注されるとしても、島内の業者は防衛省の事業を請け負うことはできないと聞いています。解決策があるなら公に島内事業者に示してあげてください。


質問4 「人口減少の歯止め策として基地を誘致する」といわれていますが、全国的に基地のある地域は人口が減少傾向にあります。与那国町はその例外なのでしょうか。また、人口増加への施策は自衛隊基地誘致以外にないのかも含めて、その理由と根拠をお示しください。


質問5 誘致派の皆さんは、異口同音に「住民投票は議会制民主主義の破壊だ」と発言されていました。民主主義とは徹底的な議論をしつくした上で、賛否を問うことです。なかでも全住民による住民投票での解決は、民主主義の最高の手法といわれています。
    与那国町では、住民説明会はしない。町議会では賛否の討論はあっても、質疑応答がされない。こういう多数の横暴こそ議会制民主主義の破壊の根源です。真の議会制民主主義についての見解をお聞きします。


質問6 戦後60年を経ていまだに全国に米軍基地が置かれ続けています。現在、日本には、133件の米軍基地があります。その中でもひときわ米軍基地が集中しているのが沖縄です。日米地位協定のもとで日本の自衛隊基地を日米共同で使用することが義務付けられています。また、県民の総意を踏みにじり、強行配備されたオスプレイはその訓練飛行で日米合意違反を繰り返しています。今月4日からは日米共同統合訓練が実施されていますが、米軍に対する所見、及び米軍の八重山諸島への進出の可能性について見解を示されたい。

          
                                
                                   以上





沖縄県民のみならず、全国の皆さんのご理解を願い、心あるメディア関係者の皆さんの、事の本質に迫る報道を、僭越ながら、強く望みます。わたしもささやかながら努力していきたいと思います。与那国島の住民を孤立させることがあってはいけないと思います。与那国島を本土の、そして沖縄の、「捨て石」にするようなことは、絶対にあってはならないと思います。




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Posted by watanatsu at 09:29 │時事問題